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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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家族旅行での出来事 1日目 夜の狂宴 その1-1

(わたしの人生って、何なんだろう。これで本当にいいのかしら。)
香澄は自問自答を繰り返してはいたものの、
香澄の身体はそんな思いとは裏腹に、
さらなる刺激やさらなる快感、そして未知なる経験を求めて燃え上がっていた。

しかし、それは香澄の意志に反してというものでも決してなかった。
(旅の恥は掻き捨て……。据え膳食わぬは男の恥……。
 男だけの特権?そうじゃないわ。女だって、同じでしょ?)
(そうだわ。アバンチュール。男も女も関係ないわ。
 与えられたチャンスは生かさなくちゃ。)
心の中にはそうした本音が渦巻いていたのだ。

そして香澄はようやく吹っ切った。
今を楽しもう、と。
しかし、そう決めたことで、新たな悩みが生まれた。
史恵との時間を優先するか、それともあの広瀬兄妹との時間を優先するか、だった。
(どちらかを選ぶための情報があまりにも少なすぎるわ。)

まず、真奈美はあの広瀬兄妹と一緒にいることを望むだろう。
夫も、さっきの混浴でのいきさつを考えれば、
当然、広瀬兄妹を、というより、真央を選ぶに決まっていた。

香澄自身はどうだろうか。
未知の魅力という点で言えば、広瀬孝志だった。
しかし、懐かしさと安心感で言えば、
細川史恵、いや、星野史恵との時間を選ぶだろう。

それに、それだけではない。
香澄は史恵の夫の存在も気になって仕方なかった。
そもそもあの史恵が結婚相手に選んだ男性だ。
その男性が、普通の性癖の持ち主であるはずがなかった。
さらに言えば、互いの連れ子である10代後半から20歳そこそこの、
二人の息子たちも気になるのだ。

(だって……。史恵の子どもだもの。
 きっと、それなりの育ち方をしているはず……。)

そもそも、今の夫にも前妻との間にできた兄妹がおり、
史恵自身にも前夫との間に生まれた兄妹がいる。
それらの兄妹は互いの年齢も近い。
血のつながりない思春期の男女が、ひとつ屋根の下に暮らしているのだ。

そんな、史恵の夫や子どもたちとの出会いも、
香澄にとっては非常に魅力的だった。
そうした想像のどれもが香澄の勝手な妄想に近いものではあるのだが、
香澄自身はそうは思っていなかった。
その理由はわからない。しかし香澄には確信に近いものがあったのだ。

(どちらを選ぶべきか……。でも、時間的には両方を取ることも可能だわ。)
広瀬兄妹との約束の時間は8時。
史恵は、旅館の仕事がひと段落した10時過ぎなら、と言っていた。
だったら、両方とも可能なのではないだろうか。
いや、もしも広瀬兄妹との時間が長引くようならば、
身体の調子が悪いとか言って中座することも可能だろう。
そして部屋に戻り、その後史恵の元を訪れればよいのだ。

(普通に考えれば、あの兄妹が選ぶのは、夫と真奈美だわ。
 特に兄の方はわたしなんかより、若い真奈美を抱きたいに決まっている。
 そうだ。わたしからあの孝志君に言い寄って、
 あっさり終わらせるか、気に入られないように振る舞えばいいんだわ。
 そうすれば、わたしがいる意味がなくなるもの。)

心が決まると、香澄は思わず顔がほころんでしまった。


そんな香澄を見て夫が安堵の声をかけた。
「香澄。やっと表情が晴れたね。
 よかったよ。
 何があったからなのか、何があるからなのかはわからないけれど、
 ボクは君が笑顔でいてくれることが一番だ。ありがとう。」
「ヤダ、あなたったら。真奈美の目の前でそんな……。」
「真奈美の目の前だからこそ、伝えておきたかったんだ。
 この前は面目なかったし、いつも頼りがいがないとか、
 君を不安にさせることばかりだろうけど……。」

突然始まった夫婦の会話に、真奈美が気を遣ったのか立ち上がった。
「ちょっと外でも見てこようかな〜。」
「真奈美。変な気を遣わなくていいから。」
「ああ、そうさ。ちゃんと見届けるのが娘の役目だ。」
雅和はそう言うと、いきなり香澄にキスをして来た。
しかも、娘の見ている目の前での、いきなりのディープキスだった。

「あ、あなた。」
夫の突然の行動に、香澄は動揺した。
「真奈美が見ているからって、今更恥ずかしがることもないだろう。
 真奈美はボクたちのセックスしている姿だって見ているんだ。」
香澄は声を潜め、下半身に手を伸ばそうとしている夫を制した。

「でも、それとこれとは違うわ。今はそんなことをしていないし、
 わたしたちだって浴衣とはいえ、裸なわけじゃないのよ。」
「裸だったら見られても構わないって言うことかい?」
「そうじゃなくって。そういう時だったらお互いさまと言うか……。
 お互いにやることは同じと言うか一つなんだから、
 キスだろうとセックスだろうと、娘の前でも平気よ。」
「だったら構わないだろう。」
「でも、今のキスはそういうキスじゃないでしょ?
 精神的なものを表したものじゃないの?」
「まあ、そう言えばそうだけれど。」
「だったらそれはわたしたち二人だけのものだわ。
 真奈美に見せつけるものじゃない。」
「香澄。君の言おうとしていることはわかるよ。
 愛情表現は二人だけの大切なものだということを言いたいんだね。」

「だからそう言ってるじゃないの。」
「いや、悪かった。確かにそうだ。
 真奈美に見られるのは仕方ないが見せつけるものじゃない。」

「えっ?真奈美はどこに行ったのかしら。」
香澄はもうすでに真奈美の姿がないことに気づいた。


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