家族旅行での出来事 1日目 夜の狂宴 その1-9
小さな機械音とともに、小刻みな振動が香澄の股間を襲う。
「あ、ダメ。そんなこと。あ、ねえ、誰かに見られたら……。」
香澄は思わず声を上げていた。
(ああ。誰かに聞かれたら……。
ああ、そうよ。誰かに聞いて欲しい。
わたしのいやらしい喘ぎ声を聞きつけた通りすがりの男が、
このドアを無理矢理開けて入って来るのよ。
ああ、そして何も言わずに、
いきなりわたしの股間に顔を押し付けて、ジュルジュルと……。)
香澄はクネクネとうねるバイブから手を離したが、
バイブはオマ〇コにしっかりと締め付けられ、
それ自体が生き物のように香澄の割れ目に突き刺さったまま、うねり続けた。
香澄は自由になった手で乳房を揉みながら、
マッサージ器を絞り上げた乳首へ押し当てた。
「アァン。いい、いいわ。」
異常なほど敏感になった乳首からズキンとするほどの快感が、
一気に全身へと拡がっていく。
便座の上にはいつの間にか小さな水たまりができていた。
(ああ。こんなに……。いやらし女の証拠が、水たまりを作ってる……。)
香澄はその液体を指先につけると、そっと口に運んだ。
(メス犬の匂い……。
淫乱女の匂い……。
ああ、わたしの、わたしにふさわし匂いだわ。)
香澄はゆっくりと立ち上がり、脚を開いて便座を跨ぐと、
便座の蓋にバイブを押し当てるようにしながら腰を下ろしていった。
【ブイイィィブゥゥィーーン】
バイブの振動が便座の蓋と共鳴し、驚くほどの音がトイレに響き渡った。
香澄はその音に慌てるどころか、かえって興奮し、声を上げた。
「あ、ああ。い、いい。ズブズブって……。
あ、ね、ねえ。突いて。下から、下から突き上げて。」
オマ〇コの中にバイブの根元まで突き刺さったタイミングで、
香澄が腰をグラインドさせ始めると、
便座がギシギシと音を立てるほどの激しい腰の動きに、
バイブの動きも滞りがちになった。
香澄は両手で乳房を揉み上げながら、
腰を振り続け、立て続けに3度、絶頂を迎えた。
(ああ。止まらない。でも……。もう、時間が……。)
これ以上時間が遅くなれば、夫が心配して、このトイレを覗きに来るかもしれない。
今更見つかっても……。香澄は一瞬そうも思ったが、
これからの松本兄妹との間で起こるであろう出来事を想像し、
後ろ髪を引かれつつ、バイブを抜いた。
香澄は備え付けのバイブを洗い、棚の上に置くと、
愛液に濡れてしまった浴衣を羽織ってゆっくりとドアを開けた。
すると、そこには新しい浴衣を手にした史恵が待っていた。
「ふ、史恵……。」
「香澄。少しは落ち着いた?」
「いつから?あ、そ、そうなんだ、やっぱり、ね。」
「ごめんね。黙っていて
うちも、商売で、こんな形の旅館を営むことになって……。
ほら、香澄だったら分かってくれるでしょ?わたし、生まれ持っての淫乱女だから。
それでも生きていくためには……。
ううん。それを生かして生きていくためには、こうするしかなかったの。」
「史恵。何を恥じているの?
素晴らしいじゃない。あなたらしいわ。
あなたらしさを生かして、それを生業にできるなんて、
史恵はやっぱりすごいわ。」
「香澄。それって、本心から、よね?」
「もちろんよ。
ああ、この旅館に来ることができてよかった。
どんな形にせよ、史恵、あなたと再会できて、本当によかったわ。」
「香澄。喜んでもらえたついでと言っちゃなんだけど……。
8時からの約束。ほら、松本様兄妹との約束。」
「ああ、史恵も、知ってるのよね。」
「ええ。あなたの娘さん、真奈美ちゃんから聞いたわ。
でね。もしよかったら、うちの特別室を使ってもらおうかなって思って……。」
「特別室?」
「ええ。そういうお客様のために、あらかじめ用意してある部屋があるの。
もちろん、露天風呂付き。
部屋は和室と洋間。それぞれ8畳から10畳の広さの部屋が3間あるわ。」
「そんなに広いの?」
「ええ。最初から、そういうお客様向け。
つまり親しい方と、そうしたパーティーができるように用意した部屋なの。
娘さんには大広間を使ってっていう話をしたのだけれど、
むしろ特別室の方がいいんじゃないかと思うの。」
「でも、料金だって高いんでしょ?」
「そこは心配しないで。
10時過ぎにはわたしもそこを使わせてもらうわ。
香澄さえよければ、うちの夫も、息子や娘たちも紹介したいから。
そうなれば、わたしたち家族が使っているようなものだもの。
料金なんて必要なくなるわ。」
「ねえ。それって、もしかしたら、史恵のご家族も含めた……。」
「ええ。香澄さえよかったら、家族ぐるみで楽しみましょ。
かなりの大人数になるけれど、あの頃のことを考えたら……。」
「史恵と綾乃と、わたし。匠君と雅也さんと、達也さん、健さん、悠司さん……。」
「ええ。
それにね。奇跡的な話なんだけど……。
ねえ、香澄。明日も泊まっていかない?」
「明日も?」
「ええ。予約が入ったの。明日からの1泊。」
「予約?」
「ええ。思いもかけない人物よ。」
「思いがけない?
わたしにとっては、ここで史恵に会うこと自体が思いがけない出来事よ。」
「ええ。わたしもそう。
でもね。明日の予約客は、本当に本当に、奇跡的な偶然なの。
ねえ、香澄、お願いだから。明日、もう一泊……。」
そう言って頭を下げる史恵の目の奥に、香澄は妖しい光を見た。
(史恵、何を隠しているんだろう。思いもかけない人物?
史恵に会えたのでさえ、わたしは思いもしなかったのに、このうえ、誰が?
えっ?まさか……。)