悪い男-6
あんなことがあった翌日に部屋に押し掛けて来た瑶子に唖然としたものの、それだけ娘が心配で、言質を取っておきたいのだろうと思った。
昨夜のことを謝ると、お互い酔ってたから忘れて、と問題にせずに仕事に来たかのように服を脱いでいった。
正直する必要のないセックスだった。こんなことをしなくても、これ以上鈴のような女の子と危ない関係を続けていく訳にはいかないことは分かっていた。だから、誠実な言葉だけの約束で対処出来たのだ。だけど関係を結んだ方が瑶子はより安心出来るとも考えられたし、自分もこれで安心出来るような気がした。鈴との関係もこれで半ば強引に区切りを付けられるし、瑶子を抱くことで鈴とこれまでしてきた行為すべてを上書きしたかった。罪を罪で重ねたかったのだ。
一糸纏わぬ姿になった瑶子は脱いだものを丁寧に畳んでベッドの下に置いた。肉づきの良い尻を向けながらベッドに膝をかけた。僕も服を脱ぎながら瑶子の姿を捉えて離さない。片腕で乳房を隠しながら俯いて恥じらう瑶子。僕が全部脱ぎ終わると、真っ直ぐ見つめてきた。既に固くなって臨戦態勢の性器を揺らしながら瑶子に近づいてキスする。
そのまま押し倒して、大きな乳輪の乳房に顔を押し付けて、両手で撫で回しながら乳首に舌をつける。早くもこりこりした乳首を口の中に収めて、唾液の滴った舌で舐めて、音を立てて吸い上げる。
下の方に手を滑らせると、既に膣の回りはたっぷり濡れていて、キスしながら指でクリトリスを触ってあげると、じわっとした温かい粘液と唇を重ねる間から薄く喘ぎ声が漏れた。
顔を離して、瑶子の顔をまじまじと眺めた。指で膣口を出し入れする度に腰を揺らして悲鳴のような高い声を上げる瑶子に、普段娘にお母さんと呼ばれる影はなく、ただの快楽に身を任せた熟女がいるだけだった。
膣壁の上を中指と人差し指で愛撫すると、
「ああーっ、はっはっ…」
という昂った喘ぎを響かせて、思わず僕の肩に爪をめり込ませる。どくどくと指を液体が伝っていって、シーツを汚していく。指を膣から抜いて、また顔を近づけて舌を出しながらキスをすると、瑶子もいやらしく舌で迎えて唇を一つにする。どちらが出したのか判別出来ない無数の唇の音と、混ざり合った唾液が二人の顎から溢れ、唇を離すと唾液の糸が二人の唇を繋ぐ。
そろそろだと思って、ペニスの先で膣口を愛撫すると、瑶子が脚を開いて受け入れる合図を出す。充分な粘膜の量でするっとペニスがさらわれていって挿入され、膣壁がペニス全体を締め付けて極上の快感を与えられる。膣口を出し入れすると、リズムに合わせるように瑶子が喘いで見つめてくる。口を大きく開けて見せたので、その中に唾液を垂らしてやると、舌で包み込みながら飲み込んだ。
腰を深く突き動かして、瑶子の奥まで先端をゆっくりねじ込ませていく。
「もっと、もう少し奥まで…」
顔を歪ませながら、僕を導いて真の快楽を得ようとする瑶子には、娘のためのセックスという大義が完全に忘れ去られ、貪欲に肉体の悦びをわがものにしようとするただの雌と化していた。
「あああん、あん、あん…」
子宮に達したペニスの猛攻に、瑶子は上半身を揺り動かしてもがいた。
「もっと、激しくして、壊れるくらいにっ」
瑶子の顔の両脇に手をついて、息を切らしながら、腰を入れて大きく、突き上げるように何度も動かした。口から涎が出て、瑶子の頬に落ちても二人とも気にしないで、互いの普通じゃない目の色を見つめる。心では、もう快楽しか眼中にない。ただ二人の脳には下半身の刺激しか存在しないように腰を動かし続けた。
「出るっ」
射精のタイミングが迫って、さらに激しく腰を動かす。もう一度、瑶子の唇に唇と舌で愛撫して、絶頂を迎えた。瑶子の腹や乳房に精液が飛び散ったあとも、自分でしごいて最後の一滴まで絞り出す。股関節が痺れて、ぐったりと膝に手を当てて座っていると、瑶子が起きてきて、三回優しくキスをして、抱きついた。しばらく、そのまま抱き合ったあと、
「じゃあ、鈴のことよろしくお願いします」
という現実に戻らせるような、業務的な瑶子の物言いが冷たく響いた。