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悪い男
【ロリ 官能小説】

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悪い男-7

年が明けて二月に入った。
休日の夜、有紗の部屋でセックスしていると、携帯が鳴る。姉の理佳からだった。
若くして結婚して、今は相模原に住み、夫と子供三人と幸せに暮らしている。
こっちで同窓会があり、二次会で遅くなったので今晩泊めて欲しいとのことだった。僕の部屋に来たが、不在で連絡してきたらしい。僕は仕方なく、有紗とのセックスを中断して帰ることにした。有紗は怒り気味だったが、また今度埋め合わせると約束して別れた。
帰宅すると、理佳の姿はなく、部屋の窓から明かりが漏れていた。鍵がかかっていないドアを開けて入ると、理佳と鈴が仲良くくつろいでいた。
「おかえりなさい」
「おかえり」
理佳と鈴が順に声をかけて出迎える。
「こんな可愛い合鍵を持った彼女がいたんだね」
「えっ」
鈴を見ると、にこにこ顔を向けている。
「鈴ちゃんから聞いたよ。告白されたけど断ったんだってね。こんな可愛い子振るなんてもったいないなぁ」
「喬寿さん、ちゃんと美人の彼女さんいますから。私なんて、子供過ぎて相手にもされませんでした」
鈴が得意の芝居がかった会話を披露する。理佳に変なことを吹き込んでいないか心配だが、どうやら上手くごまかしてくれたようだ。だが、鈴の態度に悪戯心がかいま見えて、怖さはある。瑶子と約束してから、鈴とは何もしていない。合鍵を返してもらおうとも思ったが、そこまでして鈴の機嫌を損ねて、色々暴露されたらたまったもんではない。
「喬寿はどう?ちゃんと遊んでくれてる?」
「はい。とても仲良くしてくれます。優しくて、不在のときも漫画とか読んで良いよって、鍵までくれて」
「喬寿は優しいの。真面目だし、結構良い男よね」
鈴がいる前では、理佳の言葉がすべて皮肉に聞こえてしまう。内心、鈴は笑っているだろう。
「私、そろそろ帰りますね」
鈴がすっと立ち上がって、理佳に挨拶して玄関に行く。慌てて追いかける。
「鈴」
玄関で呼び止めると、振り返って手に持った合鍵を差し出してきた。
「これ返すね。もう勝手に入らないから。でもたまに遊びに来ても良い?」
「それはかまわないけど」
「私、喬寿くんが困るようなことは絶対しないから安心して。子供だってプライドはあるの。普通の友だちに戻るね」
何となく、寂しげな目を向ける。僕は鈴を恐れ過ぎていたかもしれない。
「あとさ…」
と言いかけて、耳打ちしようと口を近づけようとする。僕は腰を屈めて鈴に耳を差し出す。
「お母さんとしたでしょ。何かいつもと違う感じのときに、喬寿くんの部屋に行くのは控えなさいって言われて。そのあとから部屋に行っても相手してくれなくなって。何かあったなって思って」
「いや、違うんだ。鈴にもう近づけさせないためにお母さんは僕と関係しようと…」
僕が言い終わる前に言葉を切って、
「そんなことじゃなくて。喬寿くんが普通に浮気とかするんだって思って」
そう言うと、振り向いてドアを開けて出ていった。
「何してるの」
という理佳の声に驚いて振り向き、部屋の中に戻った。

理佳は僕のベッドで横になって、テレビを見ていた。二人とも風呂を済ませて、理佳は僕の大きめのパジャマを着ている。
「子供のいない夜なんて何年振りだろう」
理佳はとくに感情を込めずに言った。
「同窓会で皆と再会して何か考えちゃった。私このままで良いのかなってさ」
「何が?」
ベッドの側面を背もたれにして、背後の理佳の言葉に反応する。そろそろ布団を敷いて寝たくなった。
「結婚も早くて、すぐ妊娠して、あっという間に三人の母親よ。まだ三十三なのにこのままずっとこんな感じなのかなって」
「旦那さんに不満があるとか?」
「そうじゃないけど…。私は人生の大半をお母さんとしてしか生きられないのが、後悔してる訳じゃないけど。だって初恋の相手とそのまま結婚しちゃったからさ、男性も旦那以外知らないし」
振り返って、ベッドの理佳を見ると掌に顎を乗せて肘をついている。久し振りに理佳を近くでじっと見ていると、若い頃より下半身がふっくらして見え、太股が前よりムチムチして色っぽく映った。後ろに隠れた臀部の盛り上がりもさぞ魅力的だろうと想像して、下半身が少し疼いた。
「浮気とかしたことないの」
「あるわけないでしょ、そんなこと」
確かに理佳は旦那を裏切るような人間ではない。昔から、優しくて、清潔で、聡明な姉に憧れていた。男としての視線を浴びせたことはないが、結婚すると聞かされたとき、何となく寂しかったし、もったいないなと思った。女性としてもこれからだし、僕なんかより頭も良かったので、ちゃんと大学を卒業すれば社会人としても有望に見えた。
だが、理佳は大学を中退して二十歳で幼馴染みの四歳上の男と結婚した。すぐに子供が生まれて、理佳の出産後の嬉し涙を見て、やっぱりこれで良かったんだと胸を撫で下ろした。
理佳はずっと幸せだと信じていた。いや、今も幸せなのは間違いないだろう。でも、迷っている。久し振りに昔の友人たちと近況を語り合う内に、仕事を持つ人間や、独身で恋愛を楽しむ人、または結婚しながら不倫する愚か者の話を聞いてしまったかもしれない。真っ当に妻と母親の役割に努める自分を疑い、馬鹿らしくも思えたのかもしれない。そんなことはない。姉ちゃんは悪くないよ。ちゃんと人生生きてるよ。僕なんかと比べたら…。そう力強く言ってやりたかった。


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