記憶の鎖〜再会〜-2
「そういう荘介もきついんじゃないのか?」
「俺はまだまだ大丈夫だぜ!」
(荘介!?どうしてあいつが!…)
「響太と荘介は相変わらず仲がいいな」
「全然仲なんて良くないよ!」
響太の隣にいる男にまたもからかわれ、さらに不機嫌そうだ。
(荘介の隣にいる男は、荘介の父さんか?顔がよく似てる…)
その時、景色が真っ白になった。
(な、なんだ!?うわっ!)
目の前が急に輝き、響太はとっさに目をつぶった。
《記憶の中》―???―
(どこだ、ここ…。見たことが無い―!?)
響太の目の前には、さっきの男が血を流して倒れていた。
「父さん…父さん!」
男のそばに響太(記憶の中の)が駆け寄った。
「響太…。どうした?…らしくねえぞ…。」
(あれが…俺の父さん!?でも…)
「父さん…死なないでよ!」
「はは……そりゃ無理な相談だな…。響太…お前は強くなれ…俺よりも、もっと…うぐっ!」
「しゃべるな!傷口が開くぞ…!」
荘介の父が手当をし始めた。
「…やらなくていい、止めとけ荘真(そうま)。…どのみち俺は助からねえ…。」
「だが、響炎(きょうえん)…」
「荘真…こいつらを…頼んだぞ……じゃあな、響………」
「父さん!うわあぁぁぁぁ!」
「おい、しっかりしろ!…なに寝てんだよ、起きろよ!おい!」
しかし、響炎はぴくりとも動かない。
「どうして…こんなことに…!くそぉぉおお…!」
ぽつぽつと降る雨はその勢いを弱めることなく、次第に激しくなっていった…。
(そんな…俺の父さんは…)
―森―
「……響………響太!」
「…えっ?」
「えっ、じゃないわよ!いきなりボーッとするし…どうしたの?」
「いや…それは…」
すると荘介が話しかけてきた。
「…思い出したのか。」
「ああ…。荘介は俺のことを、昔から知っていたんだな…」
俺が…忘れていただけだった。
「お前はその時のショックで記憶が無くなっていた。だから俺や父上は、それなら教えない方がいいだろうと思って、お前に黙っていた。お前にばれないように義理の父を用意した。だが…」
荘介はこっちを向いた。
「それは反対に、お前を傷つけているんじゃないかと、思うようになった。それで教えようと思ったんだがな…その後すぐに俺の家族は別の場所に移動したからそれは出来なかった。」
「………」
恵理香は何も言わずに会話を聞いていた。…というより、あまり関わらない方がいいと思った。
「そして6年くらい経ったころ、風の噂で響太のことを聞きつけて探していたんだ。お前の家には行ったが、すでにお前はいなかった。そうしてコールに行ったらお前がいた…。」
荘介はそう言うと口を閉じた。
「てことは、俺が父さんだと思っていたのは義理の父さんで、本当の父さんは俺の小さい頃に…。」
「……ああ。」
沈黙が続く。それを破ったのは、響太だった。
「…ありがとう。俺が傷つかないようにしてくれたんだろ?なら、別に文句は無いよ」
「本当に…いいのか?」
荘介は少し驚いたような顔で言った。
「ああ。」
「そうか…。」
「話は終わった?いいかげん私も黙ってるの疲れてきたんだけど」
恵理香が話しかける。
「おお、すまん。お前のこと忘れてた。」
「…あんたねえ…人がこうやって待ってれば…」
「ははは!嘘だよ、うそ。本気でキレてんの…くくっ!」
「……!あんたいいかげんにしないと、殺すわよ?」