仮想通貨-9
「あなたビッツコインの長者番付に入ってるのね。」
マギーのその言葉にも動揺はない。
「ええ。でも興味はないですね。それを鼻にかける気もない。しかしビッツコイン、いや、金が有れば様々な事が出来ます。困っている人に言葉以外のもので助けてあげる事だって出来る。」
「ん?どう言う事??」
「さっきの美弥妃は友達の連帯保証人になり、その友達に裏切られ多額の借金を抱え込み、自殺しようとしていたですよ。だからビッツコインを紹介し、知識を教え込み、今では高級外車を買おうか買わまいか悩めるぐらいにまでなった。金を貸してやるのは簡単です。でもそれじゃあ意味がない。あくまで自分の力で成し遂げる事が彼女にとって大切なんです。彼女はああ前で真剣に学びました。その結果、彼女は人生を途中で投げ出さずに済み、そして今では人生を楽しんでる。先日言ってました。裏切った友達が今現れても決して憎まない、と。むしろ自分を成長させてくれたと感謝していると。そんな言葉が聞きたくて俺はビッツコインと関わってるんです。あと話に出てきた由梨愛も、親の借金を背負って風俗で働いていた女です。ある機会で知り合い、本当は風俗なんかで働きたくない、苦しい、そう言って泣いてました。だから俺は彼女にビッツコインを教え込んだ。今ではこのビルのショップの経営者です。4階にあるんで是非立ち寄ってみて下さい。自ら店に出て頑張ってますから。」
聞いてもいない話を自らして来て戸惑うマギーと華英。
「と言うと、あなたは人助けをする為にビッツコインをやってるって事??」
「それが全てではありませんが、1番大きな理由です。ビッツコインは人生を変えられる…、そう言うと何だかインチキ商法みたいですが、お金に困っている人を見るのが辛いんです。」
「そうですか…。話だけ聞いていると人助けの為にビッツコインをしているとの事だけど、あなたは片山副総監の協力者だよね?それと片山さんから依頼されている任務とは何か関係があるの??」
マギーはもう包み隠さずに核心に迫る。
「マギーさん、今回のREVOLUTORとの件で俺を調べてるなら、それは大きな検討違いですよ?片山さんからの任務はREVOLUTORとは全く関係のない事です。と言うよりは今話した事が全てです。片山さんからの任務…、いや、そんなおおそれた事じゃない。片山さんからの依頼は、ビッツコインで金に困って自殺を考えている人達を助けてやってくれないかと言う内容ですから。」
「えっ…?」
捜査の目論見から大きく外れる言葉にマギーも華英も驚きを隠せなかった。