夜の狂宴の前に 香澄の性春 その1-2
史恵の唇の柔らかさ。
その優しさは、初めて初めて香澄の身体を貫いていった男の、
ぎこちない動きとしっかりと抱きしめられた時の安らぎを感じた。
唇の柔らかさに反するような激しいキス。
その荒々しさは、初体験を済ませたばかりの香澄の股間を舐め回し、
香澄の意識があいまいな隙を狙って、
まだ痛みの残るオマ〇コにペニスを突き立てたあの男の荒々しさを思い出させた。
その後、史恵と二人、2人の男と交互に身体を交え、
最後には4人で抱き合いながら絶頂を迎えた香澄だったが、
思い出すのは、いつも最初に香澄の身体を貫いた男子の顔だった。
(匠君……。今、どこで何をしているのかしら。)
香澄の頭は、一気に高校時代へと戻っていった。
彼の名は本村匠と言った。
香澄も匠も、お互いに異性と付き合うのは初めてだった。
香澄自身、匠に対して特に好意を寄せていたわけではないのだが、
匠のことを狙っていた同じクラスの横田綾乃から、
なぜかしらライバル視されたことをきっかけに、
なんとなく匠の存在が気になり始めたのだ。
香澄が匠を異性として意識するようになったのは、
ある日の放課後、綾乃の気持ちに全く気付いていない匠から一緒に帰ろうと誘われ、
たまたま家が近所だったこともあって、家の近くまで一緒に帰ったのがきっかけだった。
たわいもない話題で盛り上がり、翌日も、その翌日も一緒に帰るうちに、
香澄は次第に匠に好意を持つようになった。
そしていつしか一緒に帰るだけでは収まらないほどにお互いを意識し始めたころ、
史恵が香澄と匠のために、
二人のための特別な時間と場所を用意してくれたのだ。
とはいうものの、香澄自身、自分から告白しようなどという勇気は全くなく、
匠の方にもそれらしい素振りは全くなかった。
史恵の両親がたまたま町内会の旅行で家を空けた週末。
史恵はある男子を利用し、匠を呼び出した。
匠はその男子の家に泊まるということにして親を安心させ、
1泊分の荷物をバッグに詰め込み、家を出た。
一方、香澄は史恵から泊りにおいでと言われ、
やはり1泊分の荷物を持って史恵の家を訪れた。
香澄が史恵の家を訪ねると、そこには匠と、香澄には見覚えのない男子がいた。
そう。史恵が以前から好意を寄せていた、
隣の高校に通う野球部のエースだった。
そう言えばこの前、試合の応援に行って、
やっと話をすることができたと、
史恵が大喜びで報告してきたことを香澄は思い出した。
その時、香澄は喜んで飛び回る史恵に言ったのだ。
「史恵の恋がうまくいくように、どんなことでも協力するからね。」
しかし、まだあの日からいくらも日数はたっていない。
いきなり自宅に招くほど、親しい仲になったのだろうか。
香澄は不思議に思いつつも、挨拶を交わした。
香澄が来ると、史恵は弁解のように必死に話し始めた。
「あのね。彼の名前は太田豊君。
実は、匠君とは中学校時代の友達だったんだって。
今日、匠君を呼び出すのを豊君にお願いしたの。でね……。」
そこまで話すと、史恵はいきなり香澄と匠の目の前で豊にキスをした。
戸惑う香澄と匠をじっと見ながら、史恵はさらに豊の股間を触りだした。
香澄は見てはいけないものを見てしまったように、両手で顔を隠した。
匠も二人から視線を逸らせ、窓の方を向いている。
史恵は慌てる香澄と匠に言った。
「あのね。
豊君、今夜、泊ってもいいって言ってくれたんだ。
ただ、一人じゃ不安なんだって。
だったら匠君にも一緒に泊まってもらえばいいと思って……。
匠君に話したら、香澄次第だって。」
「わたし次第?」
香澄は驚いて匠の顔を見た。
しかし匠は下を向いたまま、何も言わない。
「ねえ、香澄。どうする?
香澄が帰るって言うんだったら、匠君も帰っちゃうと思うわ。
そうなると豊君も帰ることになる。
せっかく豊君が来てくれたのに、お泊りしないで帰っちゃうなんて……。」
香澄は何と答えてよいのかわからなかった。
そもそも、史恵は、自分の家に泊まりにおいでとしか香澄には言わなかったのだ。
まさか、匠が呼ばれているとは思いもしなかった。
ましてや匠と一緒に史恵の家に泊まるだけでなく、
初めて会ったばかりの、史恵の彼とも一緒だというのだ。
「それに、香澄にとっても、匠君にとっても、凄いチャンスだと思うんだよね。
野球でいえば、ノーアウト満塁のチャンス。
せっかくの大量得点のチャンス。フォアボールでも1点入るのに、
三者連続で、ボール球を空振りしまくっての三振みたいなものだわ。」
香澄には野球のことがよくわからなかったが、
それでも史恵の言おうとしていることは何となくわかった。
「わたしとしては、豊君に抱いて欲しいの。
だって、またとないチャンスですもの。
豊君が匠君も一緒じゃなきゃどうしてもだめだと言うなら、
わたしと豊君がセックスしているところを、匠君が見るのは仕方ないでしょ?
でも、目の前でわたしたちがセックスしてるのを、
見ているだけじゃかわいそうだし、匠君だって我慢できるはずないでしょ?
だから、それだったらわたし、匠君にも抱かれてもいいと思っているの。」