思いがけない出来事 2-1
母親の頭の後ろに右手を回し、がに股になって自分の股間に母親の顔を押し付け、
左手では自分の乳房を持ち上げるようにして激しく揉む紗理奈。
すかさず礼二が、その紗理奈を抱き寄せてキスをした。
その姿は香澄から見ると、明らかに母親への挑戦のようだった。
どちらが男を夢中にさせるか、どちらがより魅力的な女か、
さらに言えばどちらがより淫乱で、より卑猥な女なのか。
正直、紗理奈は美奈子の身に起きたことを現実として受け止めきれてはいなかった。
心のどこかでは嘘だろうとも思っていたし、何かの間違いだろうと考えていた。
今すぐに美奈子のそばに行って、それを確かめたい。
しかしどうやらそれはかなわぬことのようだった。
ならば敢えてこうした状況下での母、麗子の本性を暴いてやりたい。
そして当然、それは紗理奈自身の本性にも触れることになる。
この非常時にだからこそ、様々な美奈子への感情を抑えて、
母親と競ってこそ意味があるのだと紗理奈は思っていた。
紗理奈は礼二の腕を振り払い、そのまま床にしゃがみ込み、
股を大きく開いて股間を激しく弄り始めた。
それは、指先でクリトリスを刺激するような程度のものではなく、
指先をそろえ、割れ目全体を掌で掻きむしるような激しい愛撫によって、
すぐさま、紗理奈の股間からは大量の愛液が溢れ出、太腿から床へと濡らしていった。
「わたしもね、男に不自由しなくなった今でも、何か忘れたいことがある時には、
こうやって、ああ、自分を激しく嬲り続けるの。
何度絶頂を迎えても、すぐにはやめたりはしないの。
ううん。いってもいっても、自然と手が動いてしまう。
自分で、あうっ、自分を虐めたくて仕方が無くなる時があるのよ。」
「今はオレたちがいるぜ?」
「ああ、そうよね。だったら、わたしのこの手の代わりをしてくれない?
わたしを思いっきりいかせ続けてちょうだい。
一度いったくらいで止めたりしないでよ。
わたしがもうやめてって言っても、やめたりしないでね?」
紗理奈の言葉に礼二が触手を伸ばした。
「ああ。気を失うまで、いかせ続けてやるさ。」
「ホント?でも、わたし、そう簡単にはいかないし、
簡単に気を失ったりはしないのよ。
特に今みたいに、神経が異常に高ぶっている時はなおさらね。」
「そうか。でもオレはそんな風に偉そうに言っている女を何度も泣かしてきた。
お前もオレの手で、その鼻っ柱をへし折って、頭を下げさせてやるさ。」
「出来ればそう願いたいわ。
でも、わたしの淫乱さは、お母様の比じゃないけどね。」
「麗子の比じゃない?ほう、そりゃあ楽しみだ。
さっきまでのお遊びとは違って、今度は本気で責めさせてもらおうか。」
香澄は紗理奈たちのやり取りを聞きながらも、
和室の美奈子のことが気になって仕方がなかった。
幸い4人は、誰も香澄のことを気にしていないようだった。
(今がチャンスかもしれないわ。)
香澄は、田辺と礼二が麗子と紗理奈をそれぞれ抱き寄せながら、
別々のソファーに倒れ込んだのを見届けると、
素早くスライドドアを開け、和室の中へ入った。
香澄がそこで見たものは……。
そこには畳の上に寝かされた美奈子の姿があった。
太腿のあたりはまだ縄で縛られており、
身体中に縄の痕と、鞭で打たれた跡が残っていて、血が滲んでいるところもあった。
「なんだ、お前か。こっちには来るなと言っただろう。」
田辺は香澄の顔をちらっと見ただけで、
美奈子の身体の上に跨るようにして心臓マッサージをしている。
「美奈子ちゃんは……。」
「さあな。こればっかりはオレにもわからないさ。」
「でも、さっき、こっちは任せろって……。」
「おいおい。オレたちはこの家に人助けに来たわけじゃないんだぜ?
目的はあくまでもこの家の女3人をレイプして、
征爾に薬のデータを出させることだって言ってるだろ。
美奈子が2回も死にそうになるなんて、とんだ予定外さ。」
「死にそうに?じゃあ、まだ、助かる可能性はあるのね?」
田辺は心臓マッサージの手を休めることなく、香澄の方を見ずに言った。
「ここはさすがに助けないと、オレたちがまずいんでな。
強姦罪と強姦致死罪。さらには殺人罪。
罪名が違うだけじゃない。刑期も全く違うんだぜ?
まあ、オレたちは捕まるつもりもないし、無罪のままで暮らしていくつもりだがな。
だからなおのこと、ここで美奈子に死なれちゃまずいわけだ。」
「でも……。だったらすぐに救急車を……。」
「おいおい。今、救急車を呼んだりしてみろ。
美奈子のこの身体を見ただろう。鞭と縄の痕だらけだ。
当然、傷のことを聞かれるだろ?
なんて説明する?
SМプレイをしていて、エスカレートしてしまいましたとでも言い訳をするか?
そうなったら、当然お前たちも事情を聴かれるだろう。
お前たちは、オレたちのことを友人だとでも説明してくれるというのかい?
オレたちが無罪で済むと思うか?
美奈子が幸い助かったとしても、オレたちは強姦致傷だぜ?
何度も言わせるな。オレたちは無罪のまま、楽な生活をしていくんだ。
征爾のデータで作った薬で大儲けをしてな。」
そう言いながらも、田辺は汗をかきながら美奈子の心臓マッサージを続けている。
その表情は真剣そのものだった。
美奈子が危篤状態になったのは本当に予定外のことだったようだ。
香澄が美奈子から離れないのに業を煮やした田辺は低い声で威圧するように言った。「香澄。何度も言わせるな。
とにかく向こうへ行ってろ。
これ以上オレを怒らせると、何をするかわからねえぞ。」