オフィスコミュニティ-1
義人の父親の会社
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人事課長が社長室に呼び出される。
「失礼します!」
秘書に案内され、人事課長が入ってくる。
「何か御用でしょうか?」
「うん…
ちょっとお願いがあってだね…
君を呼んだんだ。
実は私の知り合いの息子さんを
内で預かる事になってだね…
もちろん!
途中採用してないのは
解ってはいるのだが
事情があってね……
そこで君にお願いが有るんだが
そのご子息を上手に内の社員として
入社させたいのだが
何とかならないかね?」
「解りました!
人事移動と言う建前で
何らかの部署に配属致しましょう!」
「おお!そうか!それは良い!
よろしく頼むよ!
それから
私の知人の息子だからと言って
特別扱いしなくて良いからね!
それと私の知人と言う事も内密に!
彼のデータを送っておくから
明日から頼むよ!」
人事課長は深々と頭をさげて
社長室を後にする。
翌朝
義人はバーチャル世界にログインし
会社の人事部に来ていた。
人事課長が声をかける。
「松雪君!ついてきなさい!
これから君が働く部署に案内する。」
「は、はい!」
義人は課長の後についていくと
総務課にやって来た。
「総務課………
何をするところだろう?」
そのまま課長に連れられ
奥のデスクへと向かい
オフィスの注目を集める。
「総務課長!申し訳ないが
人事移動で彼をここで面倒を
見て貰いたいんだが…」
「こんな時期に人事移動だなんて
どう言う風の吹き回しだい?」
「こんな時期だからこそだよ…
社長命令でね…特例なんだよ」
「それもそうだな…分かった!
引き受けよう」
「君!名前は?」
「松雪義人と申します!」
「以前は何処の部署に居たのかね?」
人事課長が慌てて口を挟む。
「彼の以前の部署は極秘でね…
言えんのだよ
だからその辺よろしく頼むよ!」
「そ、そうか……それじゃ松雪君
とりあえずここの部署の事を
先輩から聞いて貰って置いてくれ。
おーい!小林君!
ちょっと来てくれ!」
「はい、何でしょうか?」
「今日から総務課に
配属になった松雪君だ。
ちょっと面倒を見てやってくれ!」
「はい!分かりました!」
二人は顔を合わせる。
「あ!?」
「え!?」
小林君と呼ばれたのはカノンだった。
「なんだ?二人は知り合いか?」
「あっ!いえちょっと見たことが
あるくらいです……」
カノンが答える。
「そうか、それじゃ頼むよ」
「畏まりました」
二人はデスクから離れる。
「びっくりしたわ〜!
まさかユキトがこの部署に
来るんだもん!
仕事してないって言ってたよね?」
「ああ……うん……
ちょっと事情があって
本当の事が言えなかったんだ……
内緒にしててゴメン……」
「事情が有るなら
仕方ないじゃない?大丈夫よ!
うちの会社なんて
事情だらけなんだから!」
「そうなんだ………」
「そうよ!特にこの総務課は
何でも屋さんだから
秘密事項のお仕事も回って来るの
だから私も仕事の話しは
全然出来ないのよ」
「そうだったんだ…」
「でも♪
ユキトがうちの部署に
来てくれたおかげて
毎日ユキトと一緒に居られるわね♪」
カノンはなんだかウキウキしている。
「私の本名は小林琴音
入社二年目、ユキトは松雪君?」
「あっ!?
松雪義人……入社三年目かな………」
「なんだ〜義人は先輩だったんだ〜
今まで何処の部署に居たの?」
「それは………」
「そうだよね!事情が有るわよね?
気にしなくて良いわよ♪
でも、楽しくなりそう♪」
「何も分からないから
色々教えてくれるかな?………」
「良いわよ♪
何でも教えてあげる♪」
カノンは義人に
オフィスコミュニティ内の
説明をする。
正午前になると
総務課長がカノンを呼び出す。
「小林君!
午後からの会議の資料は
出来ているかね?」
「はい、14時からの会議には
全員に極秘送信出来るよう
準備出来ています。」
「うむ、助かるよ
午後からはしばらく会議で
居ないからね
そのまま松雪君を頼むよ」
「はい!任せて下さい!」
正午になるとオフィスの皆が
昼食のためリアルの世界へと
ログアウトしていく。
「それじゃ義人
私もご飯食べてくるから
午後からは私の仕事を手伝ってね♪」
「ああ…分かった……」
カノンも同じようにログアウトする。
義人もログアウトして
自分の部屋に戻り
ダイニングへと降りていく。
父親が昼食を
取りながら義人に気がつく
「おお!義人、会社はどうだった?」
母親も義人の食事の支度を
しながら聞いてくる。
「可愛い娘はいた?」
「うん……
人事課長がうまく誤魔化して
くれたから
難なくオフィスには馴染めたかな」
「そうか…それで
何処に配属されたんだ?」
「え!?総務課だけど……」
「そ、そうか……まぁ頑張れ
何かあったら父さんに言うんだぞ!」
「うん……分かった……」
義人も昼食を済ませ部屋に戻り
オフィスへとログインする。