レイプの加害者と被害者-3
紗理奈はソファーにもたれかかったままの香澄に近づいた。
香澄は安らかな顔で静かな寝息を立てていた。
素人目に見ても、顔色は悪くない。
肌の色つやにも、特に問題はなさそうだ。
(よかった。)
紗理奈は薬の効き目が表れるまでの間、香澄の横に身体を横たえた。
さっきまでの、男になったかのような高揚感はすっかり消え、
香澄を激しく犯し続けたことが夢のように感じられた。
(わたしの中にも、ああいった部分があるなんて……。
時々潤一の優しさにイラついたり、虐めたくなるのは、
そうした部分が現れるからかもしれない。
いや、それとも、お母様や美奈子がレイプされ、
自分の同じようにレイプされたことが刺激になっているのかしら。
香澄さんの悲鳴のような叫び声を聞いても、何とも思わないなんて、
やっぱりわたり、普通じゃないのかもしれない。
お父様に、一度相談した方がいいのかしら。でも……。)
でも、紗理奈はそんな自分が嫌なわけではなかった。
香澄を傷つけてしまったことは、確かにやり過ぎだったと思う。
しかし、香澄を犯し続けている時のあの高揚感と興奮は一体何なのだろう。
今直ぐに、再びあのペニスバンドをつけて、
誰かに襲い掛かりたいとはさすがに思いはしなかったが、
あんな風に男になりきって潤一を犯したらどんな気持ちだろう。
頭のどこかではそんなことを考えてしまう紗理奈だった。
(女が男を襲う?
それって普通じゃないわよね。やっぱり異常なのかしら、わたしって。
でも、お父様は、セックスには様々な形があるっていつもおっしゃるし、
性癖も人それぞれだともおっしゃるわ。
わたしにもしも、男性を犯してみたいという願望があったとしても、
お父様は笑って認めてくださるんじゃないかしら。)
そんなことを考えるうちに、紗理奈はいつの間にか眠ってしまったようだった。
紗理奈は美奈子の叫び声で目を覚ました。
「やめてよ〜。」
すっかり幼い頃に戻ってしまったかのような美奈子の無邪気な声だった。
リビングを裸の美奈子がドタドタと走り回っている。
大輔が、さっき紗理奈が母親につけた手枷と首輪を手に、
キャッキャと言いながら逃げ回る美奈子を追いかけているのだ。
「美奈子。こら、待て。」
「やだよ〜。捕まえれるもんなら捕まえてみろ〜。」
二人はやがてリビングを出て行った。
家中をドタドタと駆け回る足音が聞こえた。
どうやら階段を駆け上がって2階へも上がったようだった。
美奈子の嬌声に混じって、大輔の怒鳴る声のような声が聞こえてくる。
「まったく。美奈子のせいで、大輔がすっかり童心に返っちまった。
これじゃあまるで、レイプごっこだぜ。」
「まあ、あいつはもともと幼いし、美奈子とは気が合うんでしょう。」
「しかし、これじゃあ美奈子の奴ばかりじゃない、
紗理奈も麗子も、恐怖心が沸かないだろう。」
「いや、媚薬のせいで、それはもともとないんじゃないですか?
あるのは快楽を求める好奇心のみ。」
「ただ、定量を越えると、効き目も不安定になりがちだ。
さっきの美奈子がいい例だ。」
「だから征爾は、効果の低い安全なものに拘るんでしょうかね。」
「ああ、だがそれじゃあ商売にはならないからな。
安全性をとるか、効き目をとるか。
不思議なもので、精力剤や媚薬といった類を選ぶとき、
特に男は安全性を度外視する傾向にある。
女を喜ばせるためなら命を懸けてもいいと、そん時は思うんだろうな。」
「だから、あえて、安全性よりもより効果の高いもの、ということですね。」
「ああ。安定性に欠けるのも、命がけの男にはかえってふさわしいくらいだ。
しかも、高価だということも微妙な心理的効果を生む。
これだけ高いものなら効き目も強いだろう、という……。」
(やっぱり、この男たちは、その道のプロみたい。
だから、悪用されないためにデータを消したのね。)
再び、美奈子と大輔がリビングに戻ってきた。
「ワンワン。犬だよ〜。わんわん。」
「ほら、首輪をつけてやる。ホラ、捕まえた。もう逃がさないぞ。
あ、こら、腕を噛むな。あ、そうだ。美奈子、おいで。」
「わんわん、わんわん。」
「何か足りないと思ってたんだ。美奈子、シッポ。シッポをつけてやるよ。」
恐らく、家の中を走り回っているうちに、キッチンで見つけたのだろうか、
大輔の手には、すりこぎ棒と洗濯ロープが握られていた。
「まずはこの首輪だ。ほら。顎を上げて。
少しきつめにつけてあげるよ。」
「ギャン。」
「あ、ごめんごめん。これじゃあ息ができないか。
じゃあ、もう少し緩めて、と。で、このロープをここにつけて……。
あれ?この首輪って、この金具を外した状態でつなぎ目を引っ張ると、
どんどん輪っかが締まるんだ。
へ〜。つまり、逃げようとすると首が締まるっていうことだな。
面白そうだ。よし、ここは外しとこっと。」
美奈子は大輔の腕の中で本当の犬のようにハッハッ ハッハッ いいながら、
大輔のペニスを舐め回していた。
「よし、これで首輪はOKだ。
あとは、これを、アナルに挿せば……。」
大輔はすりこ木の先端をしばらく美奈子に舐めさせた後、美奈子のアナルへ挿入した。
「あれ、これじゃあシッポが立たないかぁ。角度が違うんだよなあ。」
確かに美奈子のアナルに挿されたすりこ木は、床と平行に突き出ている。
「このしっぽを立てるには……。あ、こら、引っ張るな。」
「わんわん。」
美奈子は犬になりきって、部屋の中を一周すると、リビングから出て行った。
その後ろを大輔が洗濯ロープを手に追いかけていった。