銃撃戦-1
咲良は、
『自宅で襲われたの?』
とNK(内部告発者)の女性に聞く。女性は、
『外出から部屋に戻ったら、連中がいたのよ。』
『部屋、めちゃくちゃにしてた。』
『それで、慌てて逃げた。』
『連中に気付かれ、バンバン撃ってきたの。怖かった。』
と話しが止まらない。咲良は、
『良く、逃げられたわね?』
と聞くと女性は、
『陸上やってたから。足速いの、アタシ。』
と笑う。咲良は、
『連中は、あなたの部屋で何か探していたのかしら?』
と聞くと女性は、スマホに付いているキーホルダーのキャラクターグッズの服から何かを取り出す。咲良は、
『SDカード?』
と聞く。女性は、
『そう、スマホの。』
『元彼のスマホから移したの。』
『最初にあなた達の所に行く前に移した、保険で。』
と言い、SDカードをグッズの服の下にしまう。元彼は、逃亡中の組織の幹部だ。女性が付き合い始めた頃元彼は、水商売をやっていたのだが知り合いから組織に誘われ、暴走族OBで荒事に強く、刃傷沙汰も厭わない性格から組織の揉め事を力で解決していき幹部に短期間で出世して行ったと言う。
女性が、
『電話で裏切ったのはお前だろ、殺してやるからなって言われたの。』
『だから、このSDカードの事を話して、アタシに手だすなって言ってやったら、部屋に来て撃ってきた。』
と後悔した様な顔して話す。咲良は、
『そのSDカード渡して貰う訳にはいかないわよね。』
と言ってみると、女性は
『まだ、駄目よ。ちゃんと保護してくれたらね。』
と拒否する。咲良は、
【SDカードに逃亡中の幹部の犯罪の証拠があるのだろう。】
と想像しながら、女性に
『解ったわ。安全な所に着いたら渡してね。』
と言うと女性は、頷いた。上の階を探索していた部下達が戻り、
『誰もいません。』
『異状有りません。』
と報告してくる。咲良は、
『了解!』
と応じインカムで話そうとした時、逆にインカムから
『チーフ、不審な人物達が接近。』
『身分照会します。』
A班班長が報告してきた。咲良は、
『了解、用心して!』
と返す。返事して間もなく
『パン!パン!』
『パン!』
と乾いた音がする。咲良は、
【銃声だ‼】
と思い、廊下の突き当りにある窓に駆け寄り、窓を開け下を見る。その窓は、ビルの前の道路に面したビルの入口付近が見える。黒のワンボックスカーが2台、ビルの入口辺りに停車し、男達が7、8人見える。
咲良は、すぐに無線機を取り出し
『奥山です!』
『武装した男達、確認出来るだけでも8人に銃撃を受けています!』
『特殊急襲部隊を要請します!』
と連絡する。
『了解。すぐに向かわせる。』
と本部より返答が来ると、咲良はインカムで
『特殊急襲部隊を要請した!』
『A班は、無理せず引け!』
と指示する。A班の班長が、
『近くに通行人と思われる人、多数!』
『跳弾での被害を考え、反撃出来ません!』
と報告してくる。咲良は、
『了解。すぐに通行人の退避を要請する。』
と答え、無線で
『奥山です、通行人が危険で反撃出来ません!』
『通行人の退避誘導を要請します!』
と伝える。
『了解!』
『既に地域犯罪課の車両が、複数向かっている。』
『通行人の退避を要請する!』
と本部より返答がある。その時、
『タタタタッ!』
『タタタタタッ。』
と銃声の連続音が聞こえる。咲良は、慌てて窓の下を見る。男達の内、3人が自動小銃を断続的に撃っている。驚きながらも咲良は、
【マズイ!このままでは、部下達に被害が出る。】
と思うやインカムに、
『A班、今から相手の注意を反らす。』
『銃撃が逸れている間に、階段から上へ退避!』
と命令する。咲良は、
【車の窓なら、跳弾の可能性は低いわ。】
と考え、武装グループの車と思われる黒のワンボックスカーの窓に狙いを定め、拳銃を連射する。
『パン!パン!』
『パン!パン!』
と音がするや武装グループの2台の車のフロントウインドー、リヤウインドーのガラスが派手に割れる。武装グループは、怯みかがみ込む。そして、上を見て咲良を見ると窓に向け撃ち出す。咲良は、飛び退くと
『タタタタッ!』
『タタタタッ!』
銃撃され、咲良が直前まで居た窓のガラスが粉々に割れた。咲良は、
『A班、退避出来たか?』
と確認する。
『はい。階段に全員退避出来ました。』
A班班長が答える。咲良は、
『これから、下に向う。』
インカムで告げると、
『B班と私は、A班の掩護に向かう。』
『NK保護役はスナックでNKの護衛を!』
『私の指示あるまで動かない様に!』
と5階の部下達に命じる。部下達は、
『了解、チーフ!』
と答えた。