SOS-2
スナックのカウンターの下から人が頭を押さえながら立ち上がり、
『奥山さん、遅いよ〜』
と話してくる。カウンターを回り、咲良に近寄って来たのは、金髪でミニスカ、キャミソールの若い、二十歳前後の女の子だった。咲良は、
『ごめんね、遅くなって。』
と笑みを浮かべ、女の子に近づく。部下達から、
『カナリアって女だったのか?』
『女性なんだ!』
などと驚きの呟きが上がる。咲良は、
『怪我は無いわね?』と確認すると女の子は、
『うん、平気。』
とあっけらかんとしている。咲良はインカムで、
『NKを確保!』
と捜査官全員に報告した。NKは、内部告発者の隠語だ。咲良は、
『一応、上の階まで確認しましょう。』
『退出するのに後ろからの攻撃は、避けたい。』
『B班全員で速やかに、確認!』
『N Kと護衛役2名は、待機する!』
『確認後、退出!』
とインカムで、捜査官全員に告げた。B班の部下達は、
『了解!』
と返事し階段を上がる。内部告発者のこの女性は、最初普通に捜査官への面会者として訪れたのを、たまたま咲良が担当。
内容から身の安全の為、もう面会に来ない事、連絡は捜査課直通電話にする事、電話を使う時は変声アプリを使い、女言葉を使わない様に語尾は、だ、たで終わる事をしつこい位強調した。
咲良は、些細な情報漏れが内部告発者に危険を及ぼす事を警戒した。