午後からの出勤-2
咲良は、自販機コーナーに誰も居ないので、その隅で桜井に掛け直した。桜井は、ワンコールで出た
『今から、そこに向かう。』
と言う。咲良は、驚いて
『えっ、ここに!今から!』
そして、
『無理よ、仕事終わって無いし。』
と言い、少し考え
『面会申し込むの?談話室で会うの?』
と聞く。桜井は、
『いや、違う!』
『あんたが普段仕事している所で会いたい。』
と言ってくる。咲良は、
『部外者は、入れ無いわ!』
『監視カメラもあるのよ!』
と悲鳴に近い声で話す。桜井は、
『前に話した知り合いは、自分の車でそこに行った話しをしてた。』
咲良は、
『情報提供者や協力者は、誰にも見られたく無い時に、直接車で入る事は出来るけど。』
と答え、
『その後は、エレベーターや廊下には監視カメラが有り、チェックは厳しい。』
と続けて話す。桜井は、
『中の駐車場で待っても良い。』
と話し、
『今から、すぐにそこに向かう。』
『10分掛からないだろう。』
と言うと電話を切る。咲良は、かなり頭がテンパっていた。
【また、無茶振りだわ。】
【ほんとにもう!】
と怒りながらエレベーターに向かう。情報提供者•協力者が車ではいるには、事前の手続きがいるのだ。エレベーターで地下に向かい、降りたら入口の車両チェック管理所へ行く。
管理所の職員に、
『今から情報提供者の車両が入ります。』
と話し桜井に、エレベーターで電話を掛け直して聞いた、車番•車種、色、情報提供者の名前を職員に伝える。職員は、咲良のID を確認し記入していく。情報提供者•協力者の車の入場には、捜査官の同乗か立ち合いが必要となるのだ。