「其の壱」-1
「其の壱」
女との約束をした日曜日になった
誠は 女が伝えてきた住所をGoogleで検索して訪ねて行った
(たぶん このマンションだな)
大きくは無いが白い小綺麗なマンションが指定の住所には建っていた
誠は 公衆電話を探すと自分の携帯電話に電話をかけた
数回コールが鳴った後に女がでた
「着いた?」
誠は 落ち着こうと努力したが 緊張は解けなかった
「はい…どうすればいいんですか?」
女は クスッと笑うと
「303号室よ…インターホン鳴らして… 開けるから」
誠の緊張は高まっていった
「わかりました」
公衆電話を切り 白いマンションの1階にあるオートロック前のインターホンを鳴らした
返答は無かったが
自動ドアが開いた
誠は 建物の中に入っていった
突き当たりにあるエレベーターに乗ると3階のボタンを押し扉を閉めた
エレベーターは ゆっくり上昇を始める
誠は 思考が定まっていなかった
(どんな人なんだろう…)
エレベーターが3階に停まると誠は 303号室のドアの前に向かって歩きだした
(ここか…)
表札は出ていなかった
ドアの横にあるインターホンを押してみた
しばらく反応を伺ったが応答が無い
もう一度インターホンを押そうと手を伸ばしたと同時にドアのロックが解除される音が響いた
そして ゆっくりとドアが開いていく
誠は 思わず後退りをした
ドアの隙間からショートカットの若い女が顔を出した
「待ってたよ」
青く髪を染めた若い女は アニメに出てくるキャラクターの様だった
ジーンズにTシャツだが可愛いらしい雰囲気を醸し出していた
(何処かで見た事あるような…)
電車の中での事を誠は 思い出せずにいた
青い髪の女は誠を観察するように見つめていた
「入って」
誠は うなずくと ゆっくりとした動作で玄関に入り靴を脱いだ
「こっちに来て」
女は 奥にある部屋に向かって廊下を歩きだした
誠は 黙って女の後を追うように部屋に向かった
十畳程ある部屋の中は壁際に間接照明だけの薄暗い空間だった
女の部屋にしては殺風景である
壁には大きなパネルに引き伸ばした写真が等間隔に飾ってあった
どれも人物の写真で裸の物も混じっている
女の被写体もいれば男の被写体もあった
誠は それらのパネルをチラッと横目で見ながら部屋の中にたたずんでいた
(なんか綺麗な写真だな…でも…ちょっと…Hだな…)
部屋の片隅の棚には高価そうなデジタルカメラが2台置いてあった
(この人が撮ったのかな?)
青い髪の女は 誠に視線を向けながら大きなソファーに座った
「ここに来て座って」
誠は 言葉もなく女の指示に従い女の隣に少し間隔を開けて座った
女は 隣に座る誠の顔を見つめながら囁いた
「これ…返すね」
誠のスマートフォンを女は差し出した
誠は ゆっくりとした動作で それを受けとる
「あ…あの…画像…み…見たんですか?」
女は返事をせずに立ち上がると隣の部屋に入って行きノートパソコンを持って戻ってきた
ソファーの前に置いてあるガラステーブルの上にノートパソコンを乗せると電源を立ち上げた
女は ノートパソコンが起動するのを確認するとデスクトップにあるフォルダをクリックした
開いたフォルダの中には沢山の画像が保存してあるようだった
誠は 横目でノートパソコンの画面を見ながら女の様子を伺っていた
「あの…聞きたい事があるって言ってましたけど…」
青い髪の女は明らかに誠より年下であった
しかし画像のデータをコピーされているという負い目があった為 誠は女に敬語で話しかけていた
女は それには答えずにフォルダの中に入っているファイルをクリックした
画面に1枚の画像が大きく表示された
誠は それを見て眼を大きく見開き そして顔を赤く染めていた
表示された画像は 誠が自撮りした自分の下着姿の写真だった
ただの下着姿では無い
両腕を頭の上で縛りあげられてM字開脚で床に座り込んでいる写真だった
そして 赤い首輪をはめていた
黒いマスクで顔を隠していたが 誠を知っている人なら すぐに誠だとわかる写り方である
透けた黒いブラジャーから勃起した乳首が見えていた
フロント部分にリボンの付いた黒いパンティーからは ツルツルに剃りあげられた包茎のぺニスが縮こまって収まっているのが透けて丸見えになっている
黒いガーターベルトがM字に開いた両足を包む網タイツにベルトで繋がっていた
誠は 言葉を失って画面を見つめ続けた
スマートフォンで見たことは あったのだが大きな画面で見るのは自分でも初めてだったのだ
しかもその画像を女に見られているのである
羞恥心がみるみる沸き上がってくるのを感じていた
青い髪の女は 画面を眺めながら呟いた
「似合うじゃん」
そして 誠の方に振り向き微笑む
「可愛い…」
誠は 赤面しながらうつむいている
羞恥心が募り体が疼いてきていた
(この娘に…見られた…恥ずかしい写真…)
誠は 自分のぺニスが硬くなっていくのを押さえられないでいた