副総監-6
「て事で麻薬がらみの情報と言ったら豪ちゃんよねー。」
若菜はそう言ってスマホを取り出した。
「こんな時間に大丈夫ですか??」
マギーが明日でもいいのではないか的な顔で見る。
「だーいじょうぶよ、豪ちゃんきっと夜の街で楽しんでるわよ。」
そう言って構わず電話をかけた。
「あ、豪ちゃん?今晩わ♪」
「どうした若ちゃん?俺とヤリたくなったか??」
「私、今東京にいるんだけど、豪ちゃんが恋しくなっちゃってさー♪」
「俺も恋しいよ♪」
いつものようにキャバクラトークから入る若菜。暫く彩香とマギーがシラ〜っとなるような下ネタを話した後、権田が切り出す。
「で、どうした?何か聞きたい事あるんだろ?」
「うん。ぶっちゃけ言うと、新しい麻薬がらみの情報ないかなーってぇ♪」
おねだりするような口調で言う。すると一瞬の間を置いて権田はフフッと笑った。
「若ちゃん、警視総監になって偉くなったから刑事としての勘が鈍ったんじゃないのか??」
「えっ?どうゆー意味よー??」
何となく馬鹿にされたような気がして膨れる若菜。そんな若菜を驚かせる言葉を権田は言った。
「夕方、菜っちゃんが同じ事を聞いて来たぞ??」
「え!?マギーが??」
びっくりした表情でマギーを見る。
「ああ。弟子に先を越されるとは若ちゃんもいよいよ衰えて来たか??フフッ、それか菜っちゃんが成長したか。」
まさかマギーが既に権田に麻薬の件で電話をしていたとは思わなかった。若菜とあろう者が不覚にも動揺してしまった。
「で…、な、何か情報あったの??」
声から動揺を感じた権田は見なくても分かるニヤニヤしているであろうような声で言った。
「あったぞー?非常に興味深い情報が、な♪」
「マジ!?教えて教えて!」
「勿論だが、これは若ちゃんじゃなくて菜っちゃんに報告しないと筋が通らないなぁ!」
「えー!いーじゃん!教えてよぉ!今度裏筋ツーってしてあげるからん♪」
「裏筋ツーっ…!?指でか!?舌でか…!?」
「勿論、舌で♪」
「舌か!?マジか!?若ちゃんが舌で俺の裏筋ツーってしてくれるのか!?」
興奮気味の権田。よし、乗って来たと思った途端、急に権田のトーンが下がる。
「でもこれは菜っちゃんに言わなきゃ仁義に反するからダメー!」
若菜の顔が豹変する。
「ちっ、けちっ!!分かったわよ、分かりましたよっ、マギーに代わるわっ!」
若菜はスマホを乱暴にマギーに渡す。ご立腹の若菜にヒヤヒヤしながらスマホを受け取った。