関与-6
華英の事を謝ろうか謝らないか迷っていた権田だが、仁義を貫く権田としてはどうしても知らぬ振りが出来なく、最終的には謝った。謝る事により若菜に知られてしまう事がある。それを言わなくても若菜はきっと既に気付いている、そう思った。
「そろそろ行こうかな。いい情報得られたし。色々。」
意味深な発言をする。
「別に何かを探ってる訳じゃない。あくまで…」
「分かってる。街の秩序を守る為でしょ?大丈夫、私は豪ちゃんを信じてるから。」
「ああ。俺は若ちゃんを裏切らないよ、この命をかけても、な。」
「うん。ありがとう。」
そう言って若菜は事務所を後にした。
(華英ちゃんの事件はごく限られた警察関係者しか分からない情報。それを知ってたって事は…。警察の中には色んなスパイが紛れ込んでいるのね。)
若菜はそう思った。権田のスパイも含め、犯人のスパイは一体誰なんだろう、そう思った。
(それにしてもまだ湯島武史から伸びた糸はまだ断ち切れてなかったんだね。ホント、大変な真似をしてくれたわ、湯島武史は。湯島武史、田口徹、サーガ…、さて次はどんな敵が現れるんだか、ね。)
若菜にとって長い戦いだ。初めは田口徹を抹殺した時点で終わったと思っていたし、やり遂げたと思った。が、しかしそれはむしろ始まりだったのかも知れない。レイプ、爆発、テロ、暗殺…、次々と襲い掛かる犯罪の波に若菜は一生戦い続ける決意を改めてするのであった。
(西進不動産か…。もう一度洗い流すか。)
当時の捜査資料は県警本部にある。若菜は県警本部に戻るのであった。
県警本部に戻るとすぐさま華英を呼び寄せた。
「華英ちゃんは暫く私と行動を共にして一緒に捜査する事。いいわね?」
「はい。」
断る理由はないし、自分がした事を考えれば仕方がない事だ。これを機に若菜から盗めるものがあれば少しでも盗めもう、そう決めた。
「あ、別に監視するとか、そう言うんじゃないからね?華英ちゃんの知りたい事を一緒に調べて行こうって事よ?したくなったら自由にオナニーしてもいうからね?」
「えっ!?し、しないから大丈夫ですよっ…」
「無理しないでぇ?我慢すると体に毒よ?」
「は、はぁ…」
そう言って困惑した華英だが、とにかく若菜について行こう、そう決めたのであった。
若菜は華英がこそこそと捜査しなければならない状況を打破してやりたかった。正しい事をしているのに堂々と捜査出来ないのは間違っていると考えたからだ。誰にも知らせずに一人で戦う孤独感は誰よりも知っている若菜。若菜は華英を殺人者には絶対にさせない、そう決めていた。