関与-4
若菜は1人、龍酷会に向かった。電話をすると今、城南市のビルの一室の事務所に使っている所にいると言う。若菜は1人、その事務所に向かった。
ビルの入り口にはさりげなく立って監視している組員がいた。勿論若菜とは顔見知りだ。若菜は門番に話しかける。
「こんにちは、雄くん♪」
まだ20歳の新入りだ。一生懸命極道しようと頑張ってるトコが可愛かったりする。
「ご、ご無沙汰してます!」
若菜の強さは知っているし組長権田のお気に入りだ。それだけでも緊張する。
「固いなぁ、雄くん。若いからガチガチね♪最近ヤッてる??」
「い、いえ…」
「あれ?雄くん彼女いたよね??」
「わ、別れました…。」
「えー?マジでー??」
「はい。」
「そっかー。じゃあたまっちゃうね。お口貸そうか?」
「い、いえ、大丈夫です…」
「そっかぁ。でもね、雄くん?いくら溜まってるからって犯罪に走っちゃダメよ?」
「し、しませんよ!若菜さんに睨まれたら生きていけないッスから…。」
「うん、よろしい♪じゃ、中に入るねっ♪」
若菜は雄太に投げキッスをしてエレベーターに乗る。
6階の事務所につくと、エレベーターの前に権田豪が出迎えた。
「あらー、組長さん自らお出迎えとか、嬉しいじゃん?♪」
「何せ警視総監さまだからな!さ、中へ入れよ。」
「お邪魔しまーす♪」
組員達はみんな、(やっぱいい女だなぁ)と思った。同時に(これが上原若菜じゃなければなぁ。)とも思った。甘い夢を見るには恐ろしく壁が高過ぎる女だ。とは言えその美貌といい匂いにウットリしながら見つめていた。
ソファに座ると男を惑わすような動きで脚を組む若菜。権田は悪びれもなく言った。
「もうちょっとでパンツ見えたのに!」
「相変わらずだね、豪ちゃん♪」
「やっぱ黒か??」
「今日は…、黒ねっ♪でもいつも黒って訳じゃないのよ?昨日はピンクだったしー♪」
「そっか。たまには脱がさせてくれよ♪」
「脱がされたらしたくなっちゃうじゃん♪」
「するか??」
「しなーい!アハッ」
「ちっ、つまんねーなぁ。」
権田は豪快に笑った。権田はマギーも華英もお気に入りだが、やはり1番は若菜だ。もう長い付き合いだ。話していて1番落ち着く。それに警視総監と言う立場ながら、気軽にヤクザの組長に会いに来てくれるトコが好きだ。若菜と堂々と話せるのは後ろめたい事はしていないからだった。
若菜が来て妙にキャバクラトークをしてくる時は何かを聞きたい時だ。もう少し雑談をした後に何かを聞こうとしてくる筈だ。それが何かは薄々感じている権田だった。