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香澄の本性
【寝とり/寝取られ 官能小説】

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解き放たれた抑圧-3

「敏明は当時、唯一自分を受け入れ、認めてくれる真奈美ちゃんと、
 より深いコミュニケーションを持ちたいと考え、セックスをした。
 そののち、真奈美ちゃんは敏明の治療のために我が家を訪れ、
 敏明に様々な性的な治療を施してくれた。
 その行為によって身も心も疲れ果てた真奈美ちゃんに、
 わたしたち家族は最大の感謝を伝えるため、真奈美ちゃんを癒すため、
 ごく当たり前の選択として、セックスというツールを選んだ。
 そういうことです。」
「当たり前の選択?」

「いえ、最善の、最良の選択です。」

香澄はその言葉が意味することを必死に考え、そして息を飲んだ。

「あなたたち家族が選んだ?つまり………。
 あなたの旦那さんも、真奈美と………と言うことですか?」
「セックスと言うものを男女間の間に行われる行為に限定するならば、
 敏明のほかには夫と言うことになります。
 でも、娘の紗理奈も、その妹の美奈子も、そしてこのわたしも、
 真奈美ちゃんと最善のコミュニケーションを図ってきたと、
 今初めて言わせていただきます。」

「ちょっと待ってください。それって………。」
「そういうことです。
 わたしも、娘も、真奈美ちゃんと身体を交えることで、
 真奈美ちゃんのストレスを取り除こうとしてきた。
 性的な快感を得ることだけを目的に性的な交渉を重ねてきたわけではありません。
 そうしたわたしと娘たちさえも、真奈美ちゃんは受け入れてくれた。」

「お、女、どうし、ですか?」
「ほら、香澄さん。また、世間の常識で判断なさいましたよね。
 世間では同性愛は異常だと。」
「でも、そうではないのですか?」
「香澄さんは………幼いころ、
 お母様に抱かれて安心したり、抱かれたいと思ったりしたことはなかったですか?」
「そ、それは、親子だから、あって当たり前です。」
「では、お友達はどうですか?
 中学や高校になったときに、同性の友達にそっと肩を抱かれて、
 癒されたことはなかったですか?
 お父様に抱きしめてもらいたいと思ったことは?」
「そ、それと、このことはまるで別のこと…。」
「別のこと、なのでしょうか。
 人が癒されたい、安心したいと思ったときに、
 相手が男であるか女であるかはさして重要ではない。
 どのくらい自分の気持ちを理解してくれるか、
 受け止めてくれるかが一番なのではないでしょうか。」

「それが父親であれ、母親であれ、
 または肉親ではない女性であれ、男性であれ、と言うこと、ですか?」
「そこまでお判りいただけたなら、もう何もご説明する必要はないかと、」
「真奈美は敏明君にとって、その時、唯一無二の存在だった、と。
 真奈美にとっても、敏明君に優しくする、その一番ふさわしい、
 自分にできる最大のコミュニケーションの手段がセックスであったと、
 そういうこと、ですね。」
香澄は下を向いてじっと考え込んだ。

(そう、なのかも、しれない。目的は互いの心を結ぶこと。
 セックスは単なる手段の一つに過ぎない。
 いや、ある意味、確かに最高の手段なのかもしれない……。)

香澄はゆっくりと顔を上げ、麗子の目をじっと見た。

「わかっていただけたようですね。香澄さん。
 わたしは別にわたしたちの考えをあなたに無理強いしているつもりはない。
 ただ、理(ことわり)をお話しさせていただいているだけなのです。」
「そして、わたし自身がその理(ことわり)を理解した、ということ、ですね。」


「わかっていただけて、本当にうれしいです。
 今頃、夫も、同じようなことをご主人にお話ししているはずです。」
「夫に、もですか?」

「はい。失礼ながら、わたしたちから見て、
 香澄さんたちご夫婦は、まさに似たもの夫婦。」
「似たもの夫婦、ですか?」
「はい。そして、わたしたち夫婦にも、とてもよく似ている。」
「似たもの夫婦同士、っていうことですか?」
香澄の顔にようやくわずかばかりの笑みが浮かんだ。

「はい。だからこそ、敏明を助けていただけたのだと思います。」
「敏明君を?ああ、真奈美がこちらに伺うことを許したあの時点で…。」
「はい。だからこそ、わたしたち夫婦は、
 生野さんご夫婦に、
 ご自分たちの素晴らしさに気づいていただきたかったのです。
 真奈美ちゃんが素晴らしい女性に育ったのは、
 真奈美ちゃんの努力もありますが、
 その多くは天性のものであり、生まれた時から今までの育て方に他ありません。
 ご両親の素晴らしい血が真奈美ちゃんに受け継がれ、
 ご両親の素晴らしい育て方が、真奈美ちゃんをさらに素晴らしい女性へ育てた。
 香澄さん。胸を張ってください。
 自分を抑圧する必要なんてないんです。
 我慢しなければいけない、幸せになってはいけないなんていう呪縛から、
 一刻も早く解き放たれてください。
 わたしたち夫婦は、そのためのお役に少しでも立ちたいのです。」


「………。いい、のです、ね。」
押し出すような声で香澄が言った。

「えっ?」
「いいん、ですね?思うままに、生きて、も。」
「………。」
「必要以上に、無理な我慢など、しなくても、いい、のですね?」

香澄はうつむいたまま言葉を続けた。
麗子もゆっくりと、一つ一つの言葉を確かめるようにしながら言った。
「そうだと思います。香澄さんは、もう十分にそれを
 やってこられました。」
「………。」


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