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由美と玲於奈さん
【同性愛♀ 官能小説】

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13-1

由美と玲於奈さん

13 富士登山


吉田口の、八合目の山小屋まで登って来た。
山頂の薄い空気で高山病にならないように、
ここで一晩過ごして体を慣らす。
八合目でも標高は3400メートルあるから、
空気は相当に薄い。
ここに登ってくる途中で、
他のハイカーのいく人かが高山病になって、
うずくまったり頭を抱えたり、エレエレ戻していた。
玲於奈さんは、
薄い空気の中でもケロッとして景色を楽しんでいた。
さすがはアスリート。
私は何度も来ているので対処法は分かっている。
コツがあるのだ。

山小屋の夜は早い。
夕飯を食べたら、みんなさっさと寝る支度を始める。
明日の御来光にタイミングを合わせて登り始めるためだ。
私たちも布団を並べて敷いて、寝る準備をする。

消灯。
玲於奈さんの瞳がイタズラっ子みたいにキラキラ輝いてる。
楽しかった今日一日を思い出して、
二人で手をつないで目を閉じた。

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真夜中に目が覚める。
部屋の中は真っ暗。
他の人たちは寝息を立てたりイビキをかいたり。

玲於奈さんが、私の布団にゴソゴソと入ってきた。
私は体をずらして、枕を半分お裾分けする。
姉妹みたいでおかしい。
玲於奈さんもクスクス。
暖かくこもった布団の中で手をつなぐ。
二人がこんなに近づいたのは初めてだ。

玲於奈さんが私の手のひらに、指先で文字を書き始めた。







私は玲於奈さんの指をキュッて握る。
玲於奈さんが私の手をギュッと握り返す。
幸せ。
良かった、楽しんでくれて。




名前で呼んでくれた!
玲於奈さんの指をキュッキュッって握る。
嬉しい!

玲於奈さんは私の手を取ったまま静かになった。
もう寝るのかな?
このまま、幸せな気持ちのまま一緒に寝られたらいいな。

と思ったら、
玲於奈さんはまた、私の手のひらに文字を書きだした。




(ええっ!?す、スキぃ!?私のことを好きだっていうの!?)

私の手を握る玲於奈さんの手は、汗ばんでいる。
玲於奈さんの緊張した呼吸が闇越しに伝わってくる。
マジだ。
玲於奈さんは私に気持ちを告白してくれた。
私もちゃんと伝えなきゃ。

布団を引きかぶって、玲於奈さんに顔を寄せる。
玲於奈さんの匂いがする。
シャワーを浴びていないけど、玲於奈さんはいい匂いだ。
真暗闇の中だって絶対見失わない。
私の灯台。

静かに唇を重ねる。
私も自分の気持ちを伝える。
これが私の真心。

女の子同士でぎこちないキスをする。
指を組んで、汗ばむ手のひらをギュッと合わせる。
二人の「スキ」を閉じ込めて。

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口を開いて玲於奈さんの舌を誘う。

「う、う」

玲於奈さんは、困惑を隠せないけれど拒絶はしない。
されるがままに私に口を吸われた。

舌を絡める。
ナメクジの交尾のように、二人の舌が口の中でのたうち回る。

とぅるっ、ちゅるっ

吸い出す。
玲於奈さんの甘やかな唾液。
トロリと口の中に流れ込んでくる。

コクッ、コキュッ

私の気持ちを知って欲しいから、
玲於奈さんに聞いて貰えるように喉を鳴らして飲み込んだ。
温かい粘液が喉を滑り降りていく。
少し空腹の私のお腹に、速やかに吸収される。
血管を伝わって、体に広がっていくのが分かる。

夢みたい。
玲於奈さんの体液が、
こんなふうに直接に身体に溶けていくなんて。
今まで排泄物だったのに。

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周囲のざわめきで目を覚ます。
外はまだ真っ暗闇。
周りの人たちが、
これからの登頂に備えて出発の準備を始め出す。
もう起きなきゃ。
一つの布団の中で玲於奈さんと顔を合わせる。
少し照れくさい。
私たち二人の仲は、昨日までとは変わった。

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「ハァ、ハァ」
「もう、少し」

色を変えていく空。薄くなる一方の空気。
足元の赤い火山石が、
カラカラと高所特有の乾いた音を立てる。
最後の難関、馬の背の急斜面を喘ぎながら登る。
見上げると、
山頂の測候所跡には既に人がいて、
みんな東の空を指差してる。

「間に合ったね」
「来るよ」

二人で並んで御来光を迎える。

「わああ」

眩しくて目を細める。
強烈な光と熱が顔を焼く。
モルゲンロート。
私たちも赤く染まる。
二人の未来もきっとこんな風に輝かしい。

「すごいねぇー。雄大だねぇー」
「記念写真を撮ってお鉢巡りに行こうよ。
今日も楽しいことがいっぱいだよ」

私たちは、手をつないで二人で歩き出す。


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