高校生-4
高校生-4
爛れた性行為の後の気怠い余韻を感じながら、
引き締まった澪の身体を愛撫するのは楽しい。
歳の離れた、
格好いい恋人の胸に抱かれながらのピロートーク。
自分を解放できる大切なひととき。
「３年になったら進路で忙しくなるから、
２年生の内に結果が出せて良かったよ」
「気になる大学からのオファーはあった？
強い選手を確保しに来るんでしょう？」
「防衛大を推薦で狙ってる」
「防衛大？」
私は驚いて、思わず身を起こす。
「防衛大って自衛隊の？自衛官になるの？」
「戦闘機乗りになりたいんだ」
私は目を丸くする。
澪には早いうちから、
大学受験を意識した勉強をさせてきたけど、
難関中の難関に挑むとは。
スチュワードになる、
くらいは言い出してもおかしく無いけど、
まさか戦闘機のパイロットとは。
この子はいつも私を驚かせる
「パパに相談したら、行け行けやれやれで凄い乗り気」
「お父さん飛行機好きだものねぇ」
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航空ファンの父親は、
最新鋭戦闘機が配備されると聞いて、
わざわざ青森まで、幼い私を連れて撮影旅行に出かけた。
父親は、
無線機とバズーカ砲みたいなカメラをセットして、
周りの似たような大人たちと談笑していた。
私はいい加減飽きて一人遊びしていた。
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大人たちが慌ただしくカメラに駆け寄る。
F-35 ライトニング II がタキシングを始めたのだ。
高まる排気音がシャッター音をかき消していく。
ゴォーッ！
突然、機体は吠え、叫ぶ。
アフターバーナ点火。
スクランブル発進。
獲物に襲い掛かるように猛然とダッシュする。
轟音に、
自分が狙われたように体が硬直する。
炎の尾が伸びる。
短い滑走、あっと言う間の離陸、機首上げ。
ズーム上昇する機体は、紺碧の空に吸い込まれていく。
ォォォォと、長い雄叫びを虚空に谺させて。
その戦闘機は、
幼女の心を鷲掴みにして、
空の彼方に飛んで行ってしまった。
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澪が腕を上に伸ばすと、
手のひら飛行機は天井に向かって伸び上がる。
視線はその、ずうっと先を見ている。
その手指は、私の排泄物でブラウンに染まっている。
キラキラよく光る瞳。
いつだって遠くを見ていた。
この子は昔から変わらず真っ直ぐだ。
私が育てた澪は、自分の力で羽ばたこうとしている。
文字通りの大空へ。
「とても眩しいわ」
大人になったら、
真っ直ぐ素直なままではいられないのだ。
本当に戦闘機乗りになるとしたら、
思い悩むことは多いだろう。
命懸けの厳しい仕事だ。
「澪の力になりたい」
澪は私に向き直る。
真っ直ぐな瞳、物怖じしない澄んだ眼差し。
「私の力の源は美雪さんなんだ。
だから、私と結婚してください。
私、美雪さんのあの日のお願いを、今、使う」
澪は、私の大便がベッタリ付いた手のひら飛行機を、
自分の胸元に置く。
やられた。
私は自分のうんちを使って、
人差し指で澪の胸に小さなハートを描く。
曲技飛行がスピンドルオイルで、
清々しく大空のカンバスに描くように。
その真ん中に、糞で汚れた指先を突き立てる。
「参りました」