兄妹の思春期-1
恵介と美沙希にとって、物心が付いた時にはセックスはごく普通に自分の周りにあった。
両親はセックスの話題を一度もタブー視してこなかった。
子どもたちの前でも平気でキスをし、時にはボディータッチを繰り返すことさえあった。
さすがに子どもたちの目の前で性行為に及んだことはなかったが、
子どもたちが自分たちが行為に及んでいる時に寝室を覗いていることを知ってはいても、特にやめさせることなどしなかった。
ただ、さすがにプレイとしてレイプまがいのことをする時やSМプレイをする時などは、
事前に防音の壁へリフォームを施したり、ドアのカギをかけるなど、
ケンカをしているとか暴力行為に及んでいるなどの誤解をさせないための配慮はした。
そして一番肝心なこととして、
セックスという行為が互いの了解や愛情のもとに行われているということに関しては、
善悪のしつけとともに何度も話をしてきたのだ。
そういう意味で、恵介と美沙希の周りにはごく普通にセックスという行為があり、理解と愛情のないところにセックスは成立しないのだという理解が子どもなりにあったのだ。
恵介は小学校時代、クラスの女の子に淡い恋心を抱いたことはあったが、その感情はセックスというものにはつながらなかった。
友達とサッカーをしたり走り回っていることの方が魅力的だったからだ。
中学に入り、周りが性のことをひそひそ声で話すのを見て、なぜ声を潜めるのかが不思議に思った時があった。
恵介は家に帰るなり、芽衣にその疑問をぶつけた。
母親の答えは簡単だった。
「世の中にはいろいろな考えがあるの。
どれが正しいか、どれが間違っているかは自分の頭で判断するしかないの。
そのためにもいろいろな人の考えを聞き、恵介自身もしっかりと考えなさい。」
その答えに単純に納得した恵介ではなかったが、いろいろな考えがあるのだということは肝に銘じた。
少なくとも自分の考えを絶対に正しいなどと思って人に押し付けることだけはするまいと思った。
そんな恵介の初体験は中学2年生だった。
相手は教師になりたてのクラス担任、芳田倫子だ。
もっとも、これは恵介が強引に、ということではない。
教師になりたてで右も左もわからない、クラスもまとめられない、
そんな倫子を助け、クラスのみんなをまとめ、リードしていた恵介に、
倫子の方が惚れたのだ。
思春期に交通事故で父親と兄を一度に失い、その失意の中で恋人にも去られた倫子は、
恵介の優しさの中に自分の父親、兄、そして恋人の姿を求めたのだ。
10歳も年下の教え子に抑えようのない恋心を抱いた倫子は、
放課後、いつものように部活を終え教室に戻ってくる恵介を待ち伏せしていた。
そして何も言わずに恵介に抱きつき、泣きながら唇を求めた。
それまでにもマセた同級生から何度も告白されたり際どい誘いを受けてきた恵介は、
恵介なりに慕っていた担任教師の突然の行動に戸惑いながらも、
倫子の涙に切ない真実を感じ、ごく当然のように倫子のキスを受け入れた。
そのまま、彼女は放課後の教室でセックスを迫ったが、恵介は大人だった。
この現場を誰かに見られたらとんでもないことになることを倫子に納得させたのだ。
そして二人は冷静に衣服の乱れを直し、そっと学校を出て倫子のマンションへと向かった。
間を置いたせいか、倫子は少しだけ冷静さを取り戻していた。
そして、自分の境遇と切ない胸の内を恵介に打ち明けたのだ。
恵介は黙って倫子を抱き寄せ、その唇にキスをした。
自分が守ってやらなければこの女性はどうにかなってしまうと感じ取ったのだ。
さらには彼女自身の思いがけない行動を否定することにためらいもあった。
我に返った彼女がとんでもない結論を選ぶことが心配だった。
恵介は倫子を勇気づけ、少なくとも自分のできる範囲で支えることが必要だと思った。
二人は自然に抱き合い、そしてベッドへと倒れ込んだ。
幼いころから子どもたちの前で開けっぴろげに性の話題を口にしてきた両親から、
恵介は常に性に関する知識はしっかりと聞かされてきた。
その中で時には父親から、傷ついた女性をどう扱うかなどという話を自慢げに聞かされたこともある。
セックスってどうやるの?という質問に対しても両親はあっさりと答えた。
体位って何?という質問をした夜もあった。両親は明確な名称さえ言わなかったものの、
そんな日の夜は、必ずと言っていいほど、両親の寝室のドアは少しだけ開いていた。
恵介が覗くと、全裸の両親がそこにはいた。
母親が父親の上に跨り、自分の胸を揉みながら喘ぎ声をあげている。
父親の腰は時折激しく突き上げられ、そのたびに母親がうめき声をあげた。
しばらくすると、母親は四つん這いにされ、母親の腰を抱えた父親が後ろから腰を突き出し、激しく動き始めた。
まるで犬が交尾しているような姿に恵介には思えた。
「ああ。いい、突いて、突いて。」
「芽衣。こうか?こうされると感じるのか?」
「ああ、そうよ。バックから突かれると、頭の先まで感じちゃうの。」
またある日は、母親が父親の、普段は見たこともないほどに大きくなったペニスにしゃぶりついている様子も見ることが出来た。
「芽衣。お前のフェラは最高だ。」
父親はそう言いながら母親の股間を舐めていた。
ちょうど数字の6と9のように重なり合った両親が、互いの股間を舐め合っている。
父親は舌先を使って母親の股間の一か所を集中的に舐めているようだった。
「あ、あなた。クリちゃんが、クリちゃんが…。」
恵介が感じた疑問を質問した日の夜の両親の寝室では、
お前の質問に対する答えはこれだ、とでもいうかのような行為が、
いつも繰り広げられていたのだ。