12月:クリスマス-10
「シュトュットガルトのクリスマスマーケットはヨーロッパ1なんでしょう?」
「いや・・・最大級の1つ、で他の地域でも大きくて古いマーケットは、ある、よ」
小川くんは私を抱きしめたまま
まだぼんやりとしている。
「でも」
「うん」
「今この瞬間から、シュトュットガルトが俺にとって最高に素敵な『世界一』のクリスマスマーケットになったよ」
私の首筋に顔をうずめて、さらにギュッと抱きしめた。
そんな小川くんを見て晃とすみれは大笑いしてグリューヴァインを小川くんに返した。
「俺たちも2人で周るから。またな。小川くんもほのかもメリークリスマス」
「今度ヨーロッパに来る時はフランスにも寄ってね。メリークリスマス!」
2人は手をつないで煌めく雪のマーケットに消えて行った。
「ドイツまで・・・来てくれてありがとう」
「ううん・・・待たせて、ごめんね」
「・・・来てくれたって事は、俺を選んでくれたと思っていいの?」
その声色に自信なんか1ミリもなくて
そんな声を出させている私自身がイヤになる。
小川くんの全身が見えるように少し身体を離した。
「小川くん。大好き。ううん。愛してるわ」
安心したように優しく私を抱きしめる。
「ありがとう。本当に嬉しいよ。ほのかさんが愛してくれているその何倍も愛してるよ」