うさぎがいない……-8
「はぁ……はぁ……はぁ……」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
二人の荒い息が重なる……。
ケンタは射精したにもかかわらず萎える様子もない、桃子もきつく抱き着いたまま……。
「すげぇ……良かった……」
「あたしの中にびゅっと出たの、わかった……」
「桃子の中、気持ち良すぎて萎まないよ」
「あたしもまだ抜いて欲しくない……」
ケンタが再びゆっくり動き出す。
「このまま、もう一回良い?」
「いいよ……来て、またびゅっとして……」
ケンタの動きが速くなってくると、桃子はケンタの腕から手を離し、座布団のふちをぎゅっと握って背中を反らす。
(これって、桃子も感じてるってことか?)
ケンタは上半身を起こして桃子の様子を観察する。
顔はまだしかめたまま……でも痛みに耐えていると言うよりは悶えているかのように見える……一本目は夢中で腰を振り、あっという間に果ててしまったが、出したばかりなのでまだマグマが湧いてくる感じはしない、ケンタはゆっくりと大きく腰を使い、桃子を見つめていた。
(か……感じる……)
一方の桃子、破瓜の痛みがなくなったわけではない、破られた処女膜はまだ血を流しているに違いない、それでもケンタの精液を受け入れたせいで膣の滑りが良くなり、無理に押し込まれている感じが薄れて、オナニーとは違った快感が腰のあたりに湧き上がってくるのを感じていた。
(あたし、ケンタ君とセックスしちゃってる、なんか……嬉しい……ケンタ君が、あたしの体に夢中になってくれてる……)
そう思うと一種の優越感のようなものも感じていた。
(恋バナに花が咲くとしばしば名前が挙がるケンタ君、クラスで活発な女子のリーダー格になってるあの子も、整った顔立ちで男の子に人気があるあの子もケンタ君好きだって……でも今だけはケンタ君はあたしのもの、あたしとケンタ君はアソコとアレで繋がってるの、あたしの膣の奥にはケンタ君の精子がいるのよ、それももう一回注ぎ込まれるはず……キスしたことあるなんて言ってたあの子もまだきっとセックスまでしたことないんじゃない? どう? あたしはもうここまで進んじゃったんだよ、あなたたちに真似できる?)
そして、ケンタの腰の動きが速くなってくると、痛みの中にも快感が増してくる。
「お……おお……来る……」
ケンタが天を仰ぎ、腰の動きは更に速く、強くなってくる。
「ひぃっ……はぁ……はぁ……」
桃子の息遣いも更に荒くなる。
「ひっ……もう……だめ……」
息が出来なくなるかと思った瞬間、ケンタの精が解放され、ピストンもやんだ。
ケンタが再び桃子に覆いかぶさり、桃子もまたセンタの背中に腕を回す……そして二人はしばらくそのまま抱き合っていた。
『抜かずの二発』、さすがのケンタも萎み始め、ついには抜け落ちた。
「大丈夫か?」
寝返りを打つように桃子の上から降りたケンタが横に寝そべりながら言う。
「……うん……大丈夫……」
桃子はそう答えたが、全然大丈夫と言うわけでもない、セックス中は夢中になっていたが、やはりあそこはひりひり傷むし、下腹部には鈍痛も感じていたのだが……。
「すげぇよ……セックスってすげぇ……ここまで気持ちいいなんて思わなかったよ」
ケンタにそう言われればひりつきも鈍痛も些細なことのように思えてしまう、それに自分にも明らかに快感があったのだから。
「血が出てる……」
「うん……でも付き物だから……」
「痛かったんだろ?」
「うん……」
「ごめんな」
「ううん……あたしの初めて、ケンタ君にあげられたんだからそれでいい」
「俺も初めてだった」
「ケンタ君の初めてになれたのも嬉しい……」
(え?……)
それを聞いてケンタはちょっと夢見心地から引き戻された心地がした。
(カノジョ面されるとちょっとなぁ……桃子が好きってわけでもねぇし……)
そう思ったが、さっきまでとは桃子が違って見えていることも確かだ。
さえないけどエッチな妄想をするにはちょうど良い相手……桃子はそんな存在のはずだったが、ちょっと可愛くも見えて来ている……またセックスしたい、とも思うし、セックス中の感じている顔や声が蘇る、そしてもちろんそこはかとなく柔らかなおっぱいも、熱く火照った肌も……なにより熱くて柔らかくて、ぎゅっと締め付けて来るアソコも、自分だけのものにしたいと言う気持ちも沸いて来ている。
(ま……いいか……カノジョとまで行かなくてもセックスフレンドでは居て欲しいし……)
そんなちょっと曖昧な感じ……微妙なすれ違いはそのままで、ケンタは桃子の団地を後にした。