お漏らし女-1
計画実行日の金曜日、朝から落ち着かず緊張している。
「(うぅ…もし失敗したら…。いや、その時は無理せずまた先延ばしにしたらいいか…。)」
職員室で考えながら座っていると出勤してきた陽菜が周りに挨拶をしながら近づいてくる。
黒のミニワンピースに黒タイツ、ヒールをカツカツと鳴らしながら歩いていて、身体のラインがはっきりと分かりいつも以上にグラマラスなスタイルを際立たせている。
「(エロ…。今日は覚悟しろよぉ……今までの恨みを…。)」
並々ならぬ視線に気付いたのか陽菜が睨んでくると前屈みで少し谷間を見せながら顔を寄せてくる。
「何見てんの?変態。今日は一段と気持ち悪いよ?マジで朝から気分悪いんだけど…。」
なぜか機嫌が悪くいきなり酷い扱いを受けると続けて足の甲をヒールで踏まれる。
「…っ!?ぐ……。(痛っ!何してんだ、この女!う、うぅ…。)」
足の甲の痛みに耐えていると脚を組んで座り授業の準備を始める陽菜を弱々しく見つめる。
「(くそぉ…。覚えてろよ…。この仕返しは必ず…。)」
放課後になり帰る用意をしている陽菜に恐る恐る声をかける。
「あ、あのさ…前に言ってた制服販売業者の社長だけど……これからだけど行けるんだよね…?」
「あぁ…そうだったっけ。いいけどこんな時間から?」
「まぁ社長も忙しいからね。僕も用意するから待ってて。」
急いで用意を済ませると車に乗り込み、助手席に座る陽菜にドキドキとしながらハンドルを握り山野から借りている高層マンションに着く。
「すごい…。こんなところに住めるってすっごいお金持ちなのかな…。」
「あぁ…そうみたいだよ?失礼のないようにね。」
隣に立つ陽菜は社長への期待感を高めてテンションを上げている。
インターホンを鳴らし最上階の部屋に向かうと打ち合わせ通りに遠藤が社長のふりをして応対する。
「どうぞ。お、今日はこんな可愛い子連れて来たんだ?へぇ…。」
「こんばんは。初めまして。朝比奈陽菜と申します。突然来てしまってすみません。是非ご挨拶をしたいと思って…。」
ソファに向かい合って座り行儀良く挨拶をする陽菜を品定めするかのように遠藤はじろじろと見つめている。
その視線は顔から乳房、太腿、そしてまた乳房へと向かい、じっとその膨らみを見つめたままで目を合わせようとしない。
「(何この人…。胸ばっかり見てる…。)」
「(すげぇ……何だよ、この爆乳…。しかも可愛いし……やりてぇ…。)」
初めて見る陽菜の乳房に見惚れてしまっている遠藤を注意するように咳払いをすると、気付いたように視線を合わせアイコンタクトを交わす。
「(分かってますよ。できるだけ怒らせるような言動を…。)朝比奈陽菜ちゃんね。よろしく。すごいでしょ?こんなマンション入ったの初めて?」
「え、えぇ…そうですね。こんな立派なマンションでびっくりしました。」
「立派?あはっ…。俺のここはもっと立派なんだよ?」
仰け反って座り下半身を指差し笑いながらセクハラ発言をすると陽菜は一気に引いてしまう。
「え、あ…はぁ…。(はぁ?何言ってんの、この人…。うざ……。)」
「まぁ俺ぐらいになるとこんなマンションすぐに買えちゃうからね。あぁ、ごめんごめん。先にコーヒー入れてあげるよ。」
コーヒーを入れにキッチンの方へと遠藤が向かうと陽菜が小さな声で不満を言ってくる。
「ねぇ、何なの?この人。社長って言っても学校側のこっちはお客さんでしょ?もうちょっと態度ってものがあるよね?」
「うーん…。お金持ちみたいだから感覚がずれてるんじゃない?ちょっとの間だから我慢しててよ、ね?」
予定通り苛立ちを募らせる陽菜をたしなめて、遠藤がコーヒーを持って戻ってくる。
「おまたせ。陽菜ちゃんさ、女の子なんだからコーヒーは私入れますとか言えないかなぁ?家事とかできない子?」
「……す、すみません。お気遣いできずに…。(むかつく……こっちはお客なのに…。)」
顔を引きつらせて謝る陽菜にまだまだ遠藤は緩めずに小馬鹿にしていく。
「ねぇねぇ、陽菜ちゃん。彼氏いるの?」
「え…?ご、ご想像におまかせします。はは…。」
「何それ?絶対いるよ、その反応!羨ましいなぁ…その彼氏。だってさ…。」
乳房をじっと見つめてニヤニヤ笑うとその意図が分かり益々陽菜が苛立ってくる。
「(くくっ…遠藤なかなかやるねぇ。まだまだ見てたいけど先に用件だけ済ませないとね。)社長、制服の件ですが…。新学期が始まってタイミングも中途半端なので…申し訳ないのですが来期からでもよろしいですか?」
「いきなり仕事の話?せっかく陽菜ちゃんのセックス事情聞こうとしてたのにさぁ。まったく…。で、来期から?いいよ、別に。あ、そうそう…。」
立ち上がり奥の部屋に行った遠藤が紙袋を持って戻ってくる。
「これ参考に借りてた藤野さんとこの学校の制服返しとくよ。ちょっと使わせてもらったよ、汚れてないと思うけど。」
「使った…ってどういうことでしょうか?」
藤野が聞き返すと陽菜を見てニヤリと遠藤が薄ら笑いを浮かべる。
「そのままの意味だけど?やっぱりJKのコスプレしてエッチは格別だよなぁ。この前面接に来た大学生なんだけど、採用するって約束したらすぐに股開くんだよな。それがさ、顔はまぁまぁだったけど脱がしたらおっぱい小さくて…。ガッカリしたよ、最低Eカップは必要かな。陽菜ちゃんは相当大きいよね?何カップ?」
最低発言に陽菜は硬直していて、カップ数を聞かれると藤野に助けを求めるように視線を送って、その視線に気付くと助けるどころか助長する。
「社長は巨乳好きですもんね。ほら、聞かれてるんだからお答えしてあげて?」
「な…っ。(はぁ?藤野…何言ってんの!こいつらマジむかつく…。)ご想像に、おまかせしますから。」
コーヒーを一気に飲み干し陽菜が立ち上がる。
「コーヒーご馳走様でした。藤野先生、そろそろ失礼しましょうか?」