一夜にして奴隷-11
現在九州は勿論、中国地方でも、ネットでも販売されておらず、九州に住んでいて手に入れたければ関西地方まで行かなくてはならない。まだ品薄状態で、1人1日1個までの制限がされており、買う際にはポイントカードを作らなくてはならない決まりになっている。ポイントカードには購入履歴が記録され、1日に2個は買えない対策がなされている。大量買いが出来ない為まだ中国地方以南でピンクモアールを持っている女性は少ないのである。ヤフー、メルカリなどでは定価5000円のピンクモアールが4倍の20000円で取引されている。
そのピンクモアールを目にして、スタッフ達の視線はピンクモアールに集中した。社員でもサンプルさえ手に入らない状態だ。実物を目にして胸をワクワクさせた。
「現在サンプリングも出せない状態の中、今回特別に福岡支社様の為に製品を一つもらいました。サンプルがなければ商談もままならないですよね?ですから私が滞在する一週間、私が皆様に商談同行するので、どんどん契約を取って行きましょう!」
その言葉に沸き立つスタッフ達だったが、彩香が心配そうに質問した。
「でも品薄でいつ納品出来るか分からない状況だと聞いています。契約を取ったのはいいけど、納期までに間に合わないって事はないのでしょうか?」
その質問に浜野はニコッと笑う。
「確かに品薄です。本社でも製品をキープするのがなかなか難しい状況です。でも私は開発の人間と密に仕事をしてます。それにわざわざ私を呼んで頂いたからには何か利益をもたらさないといけないと感じましたので、昨日会社に連絡して1万個のピンクモアールを福岡支社に優先的に供給する事を指示しました。」
「えっ!?」
みんなが驚いたが、一番驚いたのは麗華であった。ピンクモアールの仕入れの難しさは一番良く知っていたからだ。100個でも仕入れられればと思っていた所に1万個と言う数字に信じられない気持ちでいっぱいであった。
「私は福岡支社が好きになりました。必死で業績を上げようとしている南雲部長の力になりたい。だから本社に無理を言って増産させました。一ヶ月後、いよいよ1万個のピンクモアールが九州に上陸します。その後も福岡支社に、優先的に商品を供給するつもりです。ですから今週、私と一緒に1万個のピンクモアールの予約をとりましょう!」
「ハイ!」
スタッフのテンションが上がった。あまりに嬉しい言葉に麗華は泣き出しそうなぐらい感動していた。もう浜野にめちゃくちゃにされてもいい、一生奉仕してもいい…、そんな気持ちで一杯であった。
「ではみなさん、今からピンクモアールを体験してもらいます。順番に前に来て下さい。」
浜野は既に体にフェロモン成分をたっぷりとかけていた。1人1人呼び出し、全員を自分の虜にしてやるつもりなのであった。