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純白のマリアと漆黒のまりあ
【ファンタジー 官能小説】

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麗と慶、ベッドに沈む二人の影-1

 麗の部屋へと連れてこられた慶は物珍しいといった様子で部屋中を歩いてまわりながら、その距離を徐々に詰めていく。

「麗さんのお召し物って向こうとだいぶ違うんですのね……何着かお持ちすればよかったかしら」

 麗のまわりをぐるりと回り、身に纏うそれをつぶさに観察しながら”うーん”と首を傾げる少女。そこにはもうまりあへ向けたような悪意は感じられず、探究心の強いただの美人な女子生徒に見える。

「……煉が許可したのは僕のためですか?」

 慶の言葉に頷くこともせずに麗は本題へと入る。
 元は軽い冗談さえ口にする余裕のある大きな存在であった麗。しかし今となっては誰かと笑顔で絡むようなことは滅多になく、かつての麗を知る者たちは彼に残された猶予が間もなく終わりを告げようとしていることを改めて認識させられる。

「だって麗さん……"黒い翼"を抑えられないほど弱っているのでしょう?」

――パサッ……

 躊躇することなく制服を脱ぎはじめた慶が麗の首へ腕をまわして耳元で囁く。

「まりあの力……あれが最後かもしれなくてよ?」

「…………」

「……忘れてはなりませんわ。まりあは……」

「わかってる」

 慶が酷な言葉を口にする前に麗が制した。

「煉さんがおっしゃってましたでしょう? まりあがどうなろうと関係ありませんが……貴方を失うわけにいかないんです」

「…………」

「ふふっ可哀想な麗さん。ずっと待ち続けていたのにまりあは貴方のことを完全に忘れているなんて……」

「身も心も私が癒して差し上げますわ……」

 魅惑的な慶の手が麗の頬を撫で、無抵抗な腕を引きながらベッドへと倒れ込む。

「……覚悟はしていた……しかし、これほどまで辛いものだとは正直思わなかったっ……」

 絶望に目を閉じた麗の目元を涙が零れ落ちる。

「人間なんて所詮その程度。貴方が帰ってきてくださるのを皆待ち望んでいます。もちろん私も――」

 器用に麗の服を脱がしていく慶は、麗の奇跡的な美しさにうっとりと目を細めながら彼の胸元に唇を押し当てる。

「……相変わらずお美しい体……美の女神が嫉妬するのも頷けますわ……」

 やがて話声がしなくなり、ベッドに沈んだふたつの影が部屋を出たのはそれからしばらく後である。


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