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純白のマリアと漆黒のまりあ
【ファンタジー 官能小説】

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まりあ-1

私は呪われているのかもしれない。
 思えば人生の始まりから悲惨だったからだ。

 生後間もなく施設に入れられた私は本当の父や母の顔を知らない。

 そして物心ついた私の養父母になってくれた若い夫婦は、私を引き取って数年後……何者かに殺されてしまったのだ。

 だけど不思議と悲しいとは思わなかった。
 親切な人たちだとは思っていたけれど、それ以上の感情はなかったから。

 私の心はなにもない。無色なんだ。
 だから絵を描く。色のない私の心にせめてもの情けに。

 こんな私を周りの大人は可哀想……、不幸な子って言ってた。
 でも可哀想も不幸も私にはわからない。だって楽しかった記憶も幸せだった思い出も私にはないから―。

 まもなく十六歳になる私はその独特な環境にいたせいか、別名・楽園とも呼ばれているこのエスカレーター式の学園『エデン』の高等科に編入することができて。

 噂では入学試験とは名ばかりで主に面接を重視し、そこでは家庭環境や生徒の境遇が重視されているのだという。

 海外でも知れた有数の名門校であるここからは国際社会でも生きていける優秀な人物を輩出している。

 有名な研究者や哲学者。
 政治家から慈善活動に至るまで名だたる者たちが世界へと羽ばたいていた。

 私は新しい人生の第一歩を記念するこの月曜日に少なからず期待していた。

 あんなことが起こる前までは――。


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