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純白のマリアと漆黒のまりあ
【ファンタジー 官能小説】

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現れた"変態"-2

「麗先生……」

(助けてくれた……?)

 そしてそれは一瞬のことで、ゆっくり離れていく白百合麗の指先。

「まりあさん……貴方へ先に説明しなくてはならないことがあります」

「は、はい……」

 焔の存在を無視したような麗の隣でその男は盛大なため息をついている。

「貴方はもう家へは帰れません。時が来るまでこの学園で僕たちと共に過ごしていただきます」

「……はい……」

 まさかそのような事を言い出されると思わなかったまりあは、この重大さを理解できずに素直に頷いてしまった。が……

「……はい?」

「思ったより聞き分けがよくて助かったな麗」

「……そうですね。第一段階突破です」

「麗先生、あのぅ……私勢いで頷いてしまっただけなんで……今のなかったことにしてくれませんか?」

(入学早々おかしな人たちに関わっちゃったかも……麗先生はまともに見えたんだけどな)

 まさか麗までもが"焔"と同じ人種なのかと警戒したまりあは丁重に断ろうと模索していた。

「いいか白羽まりあ。貴様がここに住むことは決定事項だ。無駄な抵抗さえしなければ保障してやる」

 相変わらず上から物をいうような焔の態度にまりあはムッと顔を引き攣らせた。

「だから……っ!! 保障とか訳わかりません! 焔さんって一体何なんですかっ!? 私の鞄から勝手に鍵持ち出したんでしょ! それ不法侵入ですからね!?」

「ってことでさようなら!」

 ゼーハーゼーハーと言いたいことを言い切ったまりあは靴を履き、さっさと焔の横を通りすぎようとすると強い腕に引き寄せられ、背後から勢いよく抱きしめられた。

「ちょっ離し……っ……」

「行かせないっ!!」

 焔に抱きしめられたと思ったまりあは、その声にドキリと振り返る。

「麗せん……せ……?」

「この時をどれほど待ち焦がれたかっ……まりあ…っ……」

 悲痛な白百合麗の声がまりあの心に流れると、遠くに聞こえる祝辞のスピーチがラストを迎える。

『全ての者たちへ……』

『主と大天使の御加護がありますように――……』



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