<西の守護者> 白百合(しらゆり)麗(うるは)-2
「……覗き見とは悪趣味ですね」
もちろんこれはまりあに向けられた言葉ではない。白百合麗の背後に現れた男へ投げられたものだ。
「麗、情けは無用だ。その女、間違いなく――」
その男もまた見目麗しかったが、白百合麗とは真逆のタイプだった。彼の瞳はまるで太陽のように鋭い炎を宿しており、容赦のない冷酷なイメージさえ漂わせている。
「……#焔__ほむら__#、僕はまだ救いはあると信じています。決してあの時のようなことにはならないと……」
悲しげにまりあの体を支えた白百合麗だが、その瞳の奥には並みならぬ決意がみてとれる。
そしてふたりの視線は一点へと集中し――
「やつらがこの女を探し当てるのも時間の問題だぞ」
低く唸るように言葉を発した焔。そして白百合麗の隣りに並んだ彼は、まりあの手から零れ落ちた百合の花を無情にも踏み潰す。
「貴方がいてくれれば簡単にそうはならないでしょう? 違いますか? <北の守護者殿>」