投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

よだかの星に微笑みを(第三部)
【SF 官能小説】

よだかの星に微笑みを(第三部)の最初へ よだかの星に微笑みを(第三部) 21 よだかの星に微笑みを(第三部) 23 よだかの星に微笑みを(第三部)の最後へ

鉢合わせ-1

「文学の話がしたい!」
「なんや、お前、遅れて来て早々に。」
「あたし、『よだかの星』と『おおきなかぶ』しか知らないよ。脚本なら別だけど。」
ひいなさんも居た。
「いや、ちょっと今、そういうの、いい。何か高尚な、理想主義的な、審美的な、人を高めてくれるような話がしたい!」
「いま、天使の話してたんだよ。」
と伊月。
「それは行き過ぎ。何だよ、それ。切り口がないだろ、学問的に。」
「先に乾杯、乾杯!」
渡部が仕切っている。
俺たちの晩は変わらない。こここそが現実だ。俺の俺らしく居られる所、そして帰る場所だ。
「天使論ちゅう学問あるそうやで。」
渡部が言った事に俺は
「柳田國男にも『妖怪談義』って、あったよ。」
俺はビールを一気に飲んだ。早く酔いたかった。伊月が
「形而上学の一種なんだってよ。」
その時、
「こんばんは。お世話になります。」
知らない学生が来た。
「あ、紹介するね。これ、うちの弟。今年からうちの大学の理工学部に入ったんだけど、怪我してあんまり来てなかったの。」
「弟さん?」
俺は驚いた。じゃ、こいつがカブトムシ岡田だ。聡明そうな顔つきではある。
「あ、ヒロヤ、この人は弘前君。ウラジーミルって呼ばれてるの。」
「ウラジーミル?」
ヒロヤが反応した。俺は咄嗟に
「呼ばれてません。」
「プーチンちゃうで、ロリコンやで。」
「ナボコフでしたっけ。文学はよく知らないんです。よろしくお願いします。」
互いに素顔を知らないので、助かった。
「ほな、もう一回、乾杯!」
まあ、岡田も回復してよかったと俺は思った。


よだかの星に微笑みを(第三部)の最初へ よだかの星に微笑みを(第三部) 21 よだかの星に微笑みを(第三部) 23 よだかの星に微笑みを(第三部)の最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前