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わるい娘、メンヘラビッチとの出会い
【学園物 官能小説】

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教室という箱庭-2

「葛西さん、入ってもいいかしら?」
 女子の声? でもどうして? まさかママみたいな人がって! 学校にママなんていないはずなのに、いっつもママのことが意識から離れられない。
「大丈夫? 葛西さん」
 続く男子の声、急に安堵して、男子女子両方居るならって思うの。
「二人とも、二人しているのかしら…………ホントに? あたしのこと何もしない?」
 クソみたいな順子だよね、クラス中敵に回してもこんなあたしを助けてくれている二人を前にして、それでも順子を心配している、振りしてるあたしって、マジでクズじゃん。
「しない、約束する、だからまずは船橋さんに入ってもらうから、いい?」
 何カッコつけてるのよ、神尾でしょこの声っていう、さっさと順子の事をヤッテから逃げちゃえばいいのに、なにカッコつけてるのよ。
「葛西さ〜ん、ねー、一緒に帰ろーよ、三人でさ」
 船橋の声だ、もうあたしなんか放っておいて逃げろよ、こんなクズ女なんかさって。
 なんか急に死にたいって気持ちもしぼんでねって、ここに居てもいいんだって思えてくる。同時に順子は駄目な子って声も聞こえなくなってさ、三人一緒って凄い事かもしれないもの。
「神尾さんが葛西さんに怖い想いさせたくないっていうから、私もついてきただけ、べつに葛西さんのことが心配ってわけじゃないからね」
 はっきり言ってくれるのよ、なんだかわからないけど、かえってすっきりする。腫れ物みたいに扱われるよりも、人間関係みたいなのはっきりくっきりするような感じ。知らなかったわ、船橋ってこんな娘だったんだ。
「クラスのみんなは全員帰ったよ、僕たちも帰ろう」
「えっ…………………………………………………………しないんだ…………(どうして?……)…………」
 もしかして、もしかしたら、神尾はクラスの男子があたしの居る保健室に行かないように見張っていてくれたんじゃないのかって、そんなバカなことないわよねって、それともこんな汚れた女の子なんか相手したくないのかな、そうかもしれないわ、っていうかそう。
「ベッドから降りて、表にでよ? 私薬臭いの嫌いなんだ」
 彼女にうながされて校舎を出ると酷く憂鬱になる、家に帰ればママと顔をあわさなければならない、あんな女と同じ空気を吸うことを想像しただけで気が滅入る、そんなことを考える、家族を嫌う順子ももっと嫌だ、どうしてこんなにもあたしを愛してくれるママが嫌いなのかわからないけど、それはよくない事だってママがいつも言うから、その罪悪感に苦しい。
「ねえ、せっかくだし、このまま家に帰らないで、江戸川区の図書館に行かない?」
「神尾君が行くなら私も付き合うよ、葛西さんも行くよね」
「う、うん」
 クラスの誰かから指摘されたように、あたしのハメ撮り画像のこととか誰かに見られている気がどうしても消えないけど、ママの家に帰る気もしないし、二人に付き合うって事で、(ちょっとだけ男子の神尾は怖い気がするけど、船橋さんが一緒ならって、打算もあったけどね)付き合うことにした。
 それにしてもやっぱりすれ違う人、人、人、人、すべての視線が怖いの、ママがアップしている画像にはモザイクがかけられているけど、皆が順子のことを性的な目で見ているんじゃないかと思うと、息が苦しくなるの。
「葛西さん、僕たちから後ろ10メートルくらい離れて歩いてみて、それで行きかう人の視線を観察して欲しいんだ」
 そのときは言われている意味がわからなかったけど、そのとおりカレカノの後ろをとぼとぼ歩いて、行きかう人の視線を観察することにした。
 ぜんぜん順子の方をみていない? あれっって? 白人ハーフの神尾と船橋の方ばっかり見ている気がする?
 そのまま区の図書館について、二人に合流し、神尾君が照れくさそうに話してくれるの。
「視線、僕の方ばかり見てなかった?」
「いわれてみると、そんな気もする」
「外国人ハーフあるあるでさ、子供のうちは特に注目されてね、英語喋れるとか誤解されるんだ、苦手だったなあ」
「あらそんなことないわ、私は神尾君のこと好きだもの、ホントよ、自信もっていいと思う」
 何気に告白してるって、船橋さんって、
「小学校のとき、修学旅行で日光に行ったとき、ガイドさんが英語使って一生懸命説明してくれたの恥ずかしくてね」
 うわっ気がついてないし、鈍すぎだろ。
「だから、その、なんていうのかな」
「……だいたい言いたいこと……わかったわ」
 むくれる船橋と、どう答えていいかわからないって下うつむいてる神尾だ。
 そのあと図書館でいろいろな本を手にとって、三人の趣味が冒険モノのラノベってことがわかったから、それぞれのお勧めの本をお互いに何冊か借りて読むことになったの。
 あっという間に時間も過ぎて、ママが仕事から帰ってくる前に、家事を終わらせないとって、でもこの瞬間だけは何かつらいことを忘れられた気がしたわ。
「ねえ葛西さん、明日も学校に来てよ、僕待ってるから」
「神尾君がここまで言ってるんだから、必ず来なさいよ葛西さん」
 二人とも順子の性的虐待には全く触れず、学校にくるようにとだけしか言わない、なんだか申し訳ない、でも……
 船橋さんの顔色を見ながら、ちょっとだけ、明日が来てもいいかなって思えました。


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