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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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酔っぱらいのウラジーミル-1

ピンク色の象を想像するなと言われた途端、思い浮かべてしまうのに似て、マリエが言ったことは却って頭から離れなくなった。
カブトムシに会うかもしれないと言ったのは本心からだが、ハードディスクの件に鑑みると、ひいなさんも案外おかしな人らしいから、兄妹に関する話題は避けることに決めた。とは言え、演劇の発表でも無い限り、彼女と会うことはまず無い。
何もしなくても時間は過ぎていく。もう、コートの欲しい季節になっていた。
俺たちの夜は変わらない。
伊月も俺もハーフコートなのに、渡部はマントを羽織ってきた。俺は
「お前、漢文学の癖にマントなんか着てくんなよ。そういうのは詩人の俺に似合う。」
伊月が
「マントとコートって同じ意味だろ。フランス語と英語の違いだよ。だらしねえんだよ、日本語は。合わせたらマンコか。」
「日本じゃ意味が違うんや、この帰国子女め。合わせるなら俺はコーマンがええなあ。」
「関西はオメコなんだろ。」
「お前ら、なんの話がしたいんや。」
「お前に言われたくない。」
「俺、ひいなさんとセックスした。」
「はあ?!」
伊月の呟きに俺と渡部は仰天した。
「あの晩、そのままホテル行ったんだよ。そこでまた飲んでよ。キスしたら、なんかこう、自然に。」
「あの晩て、二ヶ月前か三ヶ月前か。もう忘れたわ。報告、遅すぎるで。」
「まあ、おめでとう。乾杯!」
「弘前にこれで勝ったな。」
考えてみると、俺は大人としたことは無い。
「付き合ってんのかよ。一発屋か。」
「一応、時々やってる。」
「セックスフレンドやな。それも羨ましいわ。」
「演劇が忙しいのは変わらねえからな。時たま会って、するだけだよ。」
俺にも伊月にも恋人ができた。俺たちの付き合い方も変わっていくのかもしれない。自分個人ではもっと良く変わっていきたいが、俺たち三人の仲は変わらないでいたいと思う。
「俺たちは変わりたいのかな、変わりたくないのかな。」
「決まっとるやろ、変わりたいところだけ変わって、変わりたくないところは変わりたくないんや。」
「鍛えてマッチョに体を変えることで、若さを保つアンチエイジングとかな。結局、変わっていくんだ。分かっていても変わりたくない。人間は矛盾だらけだよなあ。」
「柳は緑、花は紅。あるがままを受け入れるのが、禅の目指すところらしいけど、俺たちとは程遠い境地やな。」
「大人とセックスするのって、どんな感じなんだ?」
「ウラジーミル弘前、いきなり危ない発言やな。」
伊月は
「いや、なんか、彼女が上になって挿入された。動いたのもほとんど彼女なんで、覚えてない。」
「『僕って何』ちゅう学生運動の頃の小説あったな。あれに似とるわ。」
「あれは両方動かねえんだろ。彼女のお蔭で何度も出しちまったよ。」
「どんな形だった? においとかは?」
「風呂入る前にしちまったからな。臭かったよ。形か・・・。」
「弘前、お前の興味は猟奇的やぞ。アワビ頼もか、アワビ!」
「よせ、貝類は俺、嫌いなんだってば。それに高い。」


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