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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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酔っぱらいのウラジーミル-2

終電が無くなるまで飲んでしまった。随分酔ったが、いい話だった。俺は歩いて帰途に着いた。
途中、公園で立ち小便をしようと入ってみると、人の気配があった。離れた木陰で気にせず俺は小便をした。しかし、猫の声がする。それも叫び声だ。
覗いてみたら、何人かが猫を首吊りにしようとして、縄を巻きつけていたのだった。
「おい!」
酔いの勢いで、腹が立った俺は瞬時に変身した。そして男たちの前に躍り出た。
「何だ、こいつら!」
一人が怯えて叫んだ。
こいつら、とは?
知らないうちに、あのカブトムシが斜向かいに立っていたのだった。カブトムシの声が聞こえた。
「殺処分だな、お前ら。同じ目に合わせてやる。自然淘汰って知ってるな。上には上がいるんだよ。」
「これのどこが自然だ、ばかたれ!」
いろいろと頭に来た俺は両手をかざし、全員に向けた。
男たちがばたばたと倒れ、カブトムシも膝をついた。
「何だ、またあんたか! 何だこの武器は? やめてくれ!」
「猫が!」
「分かってる。こいつらをマークしていたんだ。」
俺は猫のところへ駆け寄った。しかし、猫は首を絞められ、目玉が飛び出て死んでいた。
「くそっ!」
やり切れない思いが体を駆け抜けた時、轟音が鳴り響いた。地震。俺を中心に、地面が幾方向にも割れ始めた。
「あんた、また酔ってるのか! 滅茶苦茶だ! この辺の鳥や虫も死んじまうぞ。」
既に倒れていたカブトムシにそう言われ、俺は怒るのをやめて泣き出した。
カブトムシはふらふらと起き上がった。
「あんた、どこの所属だ? おかしいぞ。俺が倒れるなんて、どうなってる?」
カブトムシを俺は無視して泣き続けた。
「こいつらはネットで有名な動物虐待趣味の奴らだ。まだ生きてるが、一緒にぶち殺すか。」
「お?」
腕の中の猫の顔が戻っている。やがて、動き出した。
「何だ、その機能は!」
「喜べ、ばか。」
猫は俺の腕からゆっくり跳び下りると、歩いてどこかに消えた。
「こいつらは警察に出そう。」
「証拠はあんたが生き返らせちゃったんだけど。」
「岡田君、俺、帰るから。こいつらをよろしく。もう懲りたんじゃないかな。」
「始末しちまえば居なくなるんだ。あなた、俺を知ってますね。なのに俺はあなたを知らない。ほんとに誰ですか。」
「ウラジーミル。こいつらと猫のために、帰ってお祈りでもするわ。こいつら殺したら、俺、怒るかもよ。」
「神なんていないだろ。あれっ?」
俺はステルス機能を使い、さっさとその場から飛び去った。


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