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よだかの星に微笑みを(第一部)
【SF 官能小説】

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すごいライブ-1

水曜日は朝と午後イチの、奇妙な時間にしか講義がない。バイトもなくて、午後の時間を持て余した俺は、昨夜のことを思いながら町をぶらついていた。
女子トイレを覗こうにも、道端で変身しては困る。どれくらい困るものか、実感が湧かないのだが、服が破れて裸になる恥ずかしさだけは現実的だった。
何となく惹かれる思いで通りかかった中学校の校門から、下校中の生徒がたくさん出てきていた。女子校のようだと眺めていたら、例の中学生と目が合った。
「わあ! 来やがった! このどすけべ、変態! ストーカー!」
いきなりの罵声に、中学生を取り巻いていた他の女子たちも、俺を見つめて睨んだ。
「マリエさん、こいつ誰ですか。」
一見してガラの悪い集団だった。気も合わなければ、近寄るのも憚られた。俺はこういうタイプが苦手なのだ。
「あんた、マリエさんになんか用?」
茶髪に化粧の濃い、青ざめたような女子がわざと喧嘩腰に近づいてきて言った。初夏なのにカーディガンを羽織っている。明らかに「不良」の体裁だ。ただ、近くで見るとやはり幼さがあり、可愛らしくもあった。そこへあの中学生が
「よしな、アリサ! お前、新型、あたしのとこに何度も何度も何度も、迷惑メールみたいに、ねっとりしたいやらしい信号送ってくるなよ! 忘れろって言ったろ! 何、学校まで来てんだよ。」
「元はと言えば、そっちが覚えとくって」
「うるさい! 発情期のサル! 痴漢!」
「奥田さん、呼んできましょうか。」
他の女子が言ったが
「こいつに関わるのやめとけ。まじでヤバイから。奥田にも黙っとけ。言うなら、ソープランドの只券、百枚用意しろって言っとけ。じゃあな、新型。」
中学生たちは去っていった。奥田というのは高校生か暴力団だろうか。まあ、どうでもいいことだ。しかし、言うなと彼女が言ったのは、俺とのしがらみにより、組織のことが漏れるのを実際には恐れたのだろう。
とにかく、怖かった。関係のない中学生が遠巻きに俺を見ている。早く帰ろうと思った。ところが
「あの、すみません。シンガタさんて言うんですか。」
「違います。ヒロサキです。」
茶髪の中学生がまた一人、話しかけてきた。顔を見ると外国人かハーフらしい。瞳が光るような独特の青色をしている。美少女だった。髪も地毛なのだろう。その可愛らしさにたちまち俺は見惚れてしまった。
「悪い人に全然見えなくて。あっちは悪いから、言ったこと信じません。あたし、あのグループにいじめられてるんです。助けてもらえませんか。」
「え!?」

その子はポリアンナといった。家まで送ってやったが、俺は美少女と歩く嬉しさばかりで、何をしたわけでもなく、何かできるとも思えないのだった。
「俺といて、彼女らが離れてくなら、いてあげてもいいよ。」
偉そうなことを言った。本当なら、声を掛けられただけでも舞い上がりそうな美少女なのだ。
「ありがとうございます。」
別れた俺は何となくヒーローじみた気分になっていた。しかし、ああいう連中と関わる度胸は全くない。そのバックに誰が控えているとかいう話も沢山だ。空虚な実態をポリアンナが知ったらがっかりするだろうと思うと、俺はかなり落ち込んだ。
早々にアパートへ帰り、ネットでも見て過ごそうと思った。
今年、大学三年生だから、あと二年は就職しなくていい。やりたい事もできる事も特になし。趣味は詩の鑑賞。絵手紙を書くのは、得意といえば得意だが、何にもならない。
幸い、両親は健康で、仕送りもしてくれる。高橋先輩が辞めたバイト先も、そろそろ辞めていい頃か。
あれこれ思いは巡らしつつも、何の考えもなく、目に留まるヌードを追ってネットを見ていたら、五時間経ってしまった。すっかり夜になっていた。カップラーメンとご飯だけの食事に決め、買い置きのビールを俺は開けた。


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