愛憎睾丸めぐり-15
四週間の実習期間を終えた蝶子は帰っていった。結局、ヨハンナは登校せず、二人が会うことはなくて済んだ。
去って何日もしないうちに、清流は、蝶子が妊娠したという話を両親から聞いた。そして、卒業を待たずに結婚するのだという。もちろん、相手は良弥だった。
子供は自分の精子で身籠ったのではないかとの懸念が清流にすぐ湧いたが、幸い、血液型に矛盾は起こらないだろうと調べて分かり、清流は少し安堵した。
その後、蝶子から清流宛に手紙が届いた。
「あれから、復讐なんかつまらないと分かりました。良弥は、あの子があんな子になってしまったのは自分の責任だと言っています。やはり教師を目指すそうです。私も、あの子のことは忘れます。復讐の代わりに、精一杯、良弥に尽くして私は生きていきます。清流君のお蔭で男性の事は、何でも分かるようになったみたい。卒業論文のテーマも、『男性の性と女性の役割』に決めました。清流君は、あの子のために生きてあげて下さい。そうすれば、あの子もきっと変わると思います。来年、私に赤ちゃんが生まれたら、可愛いがってね。」
そんな事が書いてあった。良弥のことが愛しくて堪らない様子だった。心変わりの、それが理由なのだろう。
ヨハンナはまだ快復していなかった。体が食べ物を殆ど受け付けず、実質的に少女は、毎日見舞う清流の精液と小便によって命を繋いでいた。
結局、この金髪の美少女に、精子は全て捧げる運命なのだと清流は思った。
「だんだん、お腹が空くようになってきた。味の違いも毎日すごく分かる。」
すっかり痩せたヨハンナが言うのを聞いて、清流は喜び、
「もし、俺が料理作ったら、食べてくれる? 口移しで食べさせてやるよ。」
「やってみる。あたしの体、清流君のものだと思って、いろいろ実験して。あ、久しぶりに、うんちしたい感じ。出すの手伝ってくれる?」
自然と優しい気分に清流はなるばかりでなく、なんだか自分が人間的に成長しているような気が、ヨハンナに対していると感じられて、不思議だった。