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悠子
【その他 官能小説】

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悠子-8

 「何でやらなかったの?」
 「何でってまあ、年取って自制心が付いたって言うか」
 「何で自制したの?」
 「やって欲しかったの?」
 「違う。本当に何もしなかったのかどうか確かめてるの」
 「ああ。ちょっとあそこを舐めてちょっとチンポを入れて2〜3回シコシコして出す物出した他は何もしていない」
 「やっぱりやったのね」
 「嘘だよ。そんなことすれば後で分かるだろ? あそこが臭いとか中から白い物が出てきて股にこびり付いて乾いてるとか」
 「出さなければ分からないじゃない」
 「出さないと分からないもんなのか? 女って」
 「フフフ。分かるわ。でも舐められたかどうかなんて分からない」
 「舐めて無いよ。お湯を絞ったタオルで拭いたけど、おしっこでビショビショに濡れてたのを見たんだから、そんなの舐める気になると思うか?」
 「どうかしら。それで何回くらいやったの?」
 「だからやって無いって言ってるだろう?」
 「違う、そのタイ人と」
 「ああ、それは大体毎日だから30回くらい」
 「そんなに?」
 「そんなにって、ギブアンドテイクだから」
 「それじゃ私の時は何をしたの?」
 「だから君の時は何もしていない」
 「どうして?」
 「だから年取って自制心が出来たから」
 「まあいいわ。そういうことにして上げる」
 「あのなあ、僕は君に無理矢理飲ませて酔っぱらわせて家に連れ込んだんじゃ無いんだぜ。君が自分で飲んで酔っぱらったんだ。それを凍え死ぬといけないから重いのに必死になって抱きかかえて運んだんだ。それで後で気が付いたら吐いたのとおしっこで汚れてるし臭いし、それを綺麗にして寝かせてやって、その上『まあいいわ』なんて言われたんじゃ馬鹿みたいだな」
 「怒らないでよ。ちょっとからかっただけじゃない。私ってそんなに重かった?」
 「ああ、買い物から帰ったらエレベーターが点検中で使えないんで自転車抱えて6階まで階段で上がったことがあるんだけど、あれより余程疲れた。女ってどうしてこう重いんだろって恨めしかったよ」
 「フフ、恨めしかったの?」
 「ああ。ぐったりした人間っていうのは重心を取りにくいもんだから重いんだ」
 「それで彼女は1ヶ月経ってどうしたの?」
 「僕のうちにいれば只でメシ食って只で生活は出来るんだ。服なんかも買ってやったし。だけど彼女は金を稼いで国に送金したくて日本に来た訳だろう? それでいつまでもヌクヌク暮らしてる訳に行かないって言うんで、働きたいと言いだした」
 「言葉は喋れるようになったの?」
 「いや、相変わらず全く喋れない。でも不思議なもんだな。心が通じ合うと言葉が出来なくても何とかかんとか言ってることが分かるようになるんだ。絵を描いたり身振りで説明したり、とにかく必死に理解しようとして聞いていれば何とか通じるもんなんだよ。時間はかかるけど」
 「それで働き始めたの?」
 「いや、そういう何と言うか、口入れ屋って言うのか? 今はスカウト・マンなんて言うのかな。女を飲み屋に紹介して金を取る仕事」
 「ああ、それがどうしたの?」
 「アルバイトでそんなことしてる友達がいたんで、そいつに頼んでみたんだ」
 「それでお店を紹介して貰った訳?」
 「いや、5日間くらいそいつがその女の子連れ歩いて東京だけでなくて千葉県とか群馬県まで廻ったらしいんだけど、何処へ行ってもお触れが廻っていて駄目だって言うんだ」
 「お触れって?」
 「こういう女の子を見かけたら知らせて下さいっていうビラさ。賞金まで付いてるって言うんだ。逃げられたプロモーターがばらまいたんだな」
 「全部の飲み屋さんに?」
 「いや、日本語が喋れないだろ? それにタイ人だから働ける店なんて限られているんだ。そういう女の子でも雇ってくれそうな店なんて少ないんだよ。そしてそういう所には全部そのビラが配られてるっていうんだ」
 「へえ、逃げられた方も必死だったのね」
 「そうさ。だって僕の家にも電話してきて『隠してるだろう。そんなことすると貴方の命が危ないね』なんて脅して来たくらいだ」
 「えっ? そんな電話があったの?」
 「ああ。多分レストランの女の子から聞き出したとしか思えないんだけど」


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