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悠子
【その他 官能小説】

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悠子-7

 「それでどうしたんですか?」
 「どうしようも出来ないね。会いに来てくれっていう調子じゃなくて、何か凄く切迫した感じの喋り方で、心配はしたけど、事情が分からないからどうすることも出来ない。その内彼女も諦めて電話を切った」
 「それでどうしたんですか?」
 「その電話があったのが丁度昼頃で、それから4時ちょっと前に又電話がかかってきた。今度は日本語の喋れるタイ人の女の子がかけてきたんだ」
 「彼女の友達?」
 「そうでは無いらしい。土浦の駅前にタイ人相手に営業しているレストランがあって、そこの女の子に電話するよう頼んだんだな。その子は日本語が結構上手かった。で、プロモーターから逃げて来た、1週間でいいからマスターの家にいさせて欲しいって言ってると言うんだよ」
 「へえー。それでどうしたんですか?」
 「ああいう女の子なんて金で縛られて働かされてる訳だろう? それが逃げたと言えば穏当じゃ無いよな。実際の所は良く知らないけど捕まって裸にされて焼きを入れられるなんて姿を想像しちゃってね。裸で縛られてバシバシ鞭で打たれてるなんていうのをさ。それで青くなって車で土浦まで素っ飛ばしてそのレストランに行ったんだ。何しろ常磐道を時速140キロで素っ飛ばして、途中1台のベンツに追い抜かれた他は面白いように抜き去って走ったね。劇画の主人公になったみたいに気持ち良かったけど、後になって良く捕まらなかったもんだと思って冷や汗かいたな。それにしてもやっぱりベンツは早い。あんな格好しているけど飛ばすと早いんだな。あっという間に抜いてあっという間に小さくなって姿を消した。たぶん時速160キロ以上は出してたんじゃないかな、だって僕が時速140キロで走ってたんだから」
 「そんなベンツのことなんてどうでもいいから、その先どうなったの?」
 「あ、レストランは駅の裏のゴチャゴチャした所にあったけど直ぐ見つかってね。入ると奥から彼女が出てきて、その格好見たらなるほど逃げて来たんだなって分かった」
 「どんな格好してたの?」
 「トレーナーとスカートとサンダルなんだけど薄汚れてるんだ。ピンクのスカートがネズミ色みたいに見えた」
 「それで?」
 「電話かけて来た女の子が又同じことを言うんだ。そして捕まると大変なことになるって言うんだな。やっぱりこれは裸でしばかれるんだなって思った」
 「何で裸が出て来るのよ。服着たまましばかれるかも知れないじゃないの」
 「いやあ。そういうのって、素っ裸って相場が決まってるんだよ。その方が絵になるし」
 「絵になる?」
 「いや、他の女の子への見せしめになるだろ?」
 「まあいいわ。それで連れて帰ったの?」
 「だってもう縋り付いて離れないんだ。此処で放したら殺されるってな感じなんだよ」
 「へえ。それで連れて帰ってどうしたの?」
 「どうもしないよ。ただ家においてやった」
 「私の時みたいに?」
 「あ、まあそうだな」
 「それで1週間いたの?」
 「いや、1週間ていうのは只の口実でその先の当てなんか無いんだ。それで結局丁度1ヶ月くらい僕のうちにいた」
 「1ヶ月も?」
 「うん」
 「その間何もしなかったの?」
 「何もとは?」
 「だから彼女とセックスしなかったの?」
 「それはまあ、世の中ギブアンドテイクだから」
 「まあ。やったのね」
 「まあつまり、そういうことだな」
 「何がまあつまりよ。何時やったの?」
 「何時とは?」
 「だから連れ帰って何日目にやったの?」
 「え? だからギブアンドテイクだから」
 「だから何時?」
 「連れ帰って直ぐ」
 「直ぐ?」
 「いや、汚かったから取りあえず風呂に入れて体を洗わせてから」
 「それじゃ直ぐじゃない」
 「だから直ぐって言っただろ」
 「厭らしい。私の時も何かしたんでしょ」
 「何もしない。誓ってもいい」
 「本当?」
 「本当」
 「その子の時は直ぐやって、どうして私の時は何もしなかったの? 私は気が付いたら下着を穿いて無かったから『これはやられたな。仕方無いか』って思ったのに」
 「それならやれば良かったな。損した」


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