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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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J久永の経歴(2)-1

J久永の経歴(2)




車窓から瀬戸内海を眺めながら考えていた。
大谷史郎が久永光輝になるまでの生い立ちを知らずして事件の解決はないと判断しての二度目の出張であった。
同伴の新米刑事田川が席に戻ってきてペット茶を差し出した。
「多摩川さんその校長、僕が何が何でも吐かせてやりますよ。」
「いや、田川君。君も会えば分かるだろうが永田校長はなかなかの人格者だと思うよ。」
「じゃ。なぜ大谷史郎の事を話したがらないんだろう。」
「そこなんだ。何か考えがあっての事だと思うね。情熱を持って当たる覚悟は出来ているよ。」
便利になったものだ。僅か15分ほどで坂出に着いた。そこから丸亀は目と鼻の先だ。
学校について驚いた。校長室に通されたのだ。
「校長は今県の教育委員会の方と分校の方へ行っていますが間もなく帰って来られます。
校長室へお通しするように指示を受けました。10分ばかりこちらでお待ち下さい。」
「どういう風の吹き回しだろう。もしかしたら田川君がラッキーボーイかも知れないね。」

「校長の永田です。先日は失礼しました。」名刺を交換し田川は警察手帳を掲示した。
「永田さん何度もすみませんね。大谷史郎の殺人事件にかかわる事なのでどうしてもお話が聞きたかったのです。」
「ええ。あなたが帰られた後知りました。それで今日お話しする気になったのです。」
「やっぱり心当たりがあるんですね。ぜひ教えて下さい。」
「あれは彼が中学一年生の時です。喫煙を咎めた人を殺してしまったのです。
その時彼はまだ13歳だったので少年審判の対象外でした。
だから少年院送致などの保護処分が出来ない状態で児童自立支援施設へ入所しました。
地元の新聞でも少年Aの犯罪として小さく報じられました。
私もマスコミから追いかけられましたが彼の事は一切話しておりません。
そして彼の将来の事を考えてしかるべき時期に卒業証書を発行したのですが彼の手元には渡っていないようです。」
「この事を知っている人は何人くらいいらっしゃいますか?」
「極秘にしていましたが数人の先生方や級友たち、そしてご近所の人達は知っていたと思います。」
「その頃から身寄りは居なかったのですか。」
「母親は事件の後すぐに自殺しました。だから全くの天涯孤独だと思っていたのです。」

「そうじゃなかったのですか。」
「半年くらい前に彼の姉だという人物が私を訪ねてきたのです。米人と離婚してサンディエゴから実家へ帰って来たが
母も弟もいないのだが知らないかという事でした。家出同然に駆け落ちしたので一切連絡は取っていなかった様です。
私は彼に少しでも早く家族の温もりを与えたくて事件のいきさつを話し児童自立支援施設を教えました。」
「そのお姉さんは彼と会えたのでしょうか。」
「その後の事は一切わかりません。後で思った事ですが本当に姉だったか疑わしく思えて随分後悔しました。
そんな後に多摩川さんが見えられたのでかたくなに失礼な態度をとってしまったわけです。」

「ところでそのお姉さんこの人ではなかったですか。」麻紀子と直美の写真をテーブルの上に並べた。


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