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「悪魔の少年」
【ショタ 官能小説】

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J久永の経歴(2)-2

「年恰好は似ていますが違う人ですね。」
捜査協力に感謝し新居浜の別子学園に向かった。
大谷史郎が社会に巣立つまで特別教育を受けた愛媛県立の児童自立支援施設だ。
「ええ確かに5ヵ月くらい前に姉だと言われる方がお見えになりました。
その方にもお話したのですが大谷史郎は今現在行方不明なんです。
大阪の製本会社に就職させたのですがわずか1年で無断退職したようです。
保護司さんの方にも連絡がないのでその後の行方は分かりません。」
「大阪のなんていう会社ですか。できれば電話番号と住所も教えて下さい。」
「ちょっと待って下さいね。5ヵ月前の時も姉さんに見せたから間違いなく書類が残っている筈です。
ありました。ABC印刷(株)ですね。そこで住み込み従業員として働く様になりました。
住所等はコピーしておきました。」「ところで姉さんというのはどんな人でした。」
「年齢は30〜35歳。身長は少し低かったかな 。150cmくらいで髪は短かったのを覚えています。
服装はよく覚えていないのですが下はデニムのパンツだったと思います。
外国生活が長かったからでしょうか少しなまりがありましたね。
よくテレビなんかで外人に扮した日本人が喋るような言葉遣いですよ 。カナダをキャナダって言うような雰囲気ですね。」
「そうですか。ちょっとワザとらしい気もしますが参考になりました。いろいろとありがとうございました。」
多摩川と田川はその日の内に大阪のABC印刷を訪問した。
物静かな社長が思い出しながらしゃべり始めた。
「知り合いの保護司に頼まれて大谷史郎を採用したのは7年前です。
親代わりになるために自分の家に住まわせ仕事以外にも衣食住の面倒を見ていました。
仕事ぶりは真面目で覚えも早かったので私は彼が立派に更生できると信じていました。
ところがです。彼が来て1年ぐらいがたった頃黙って出て行ってしまったんです。
そしてその日から私の妻も消えてしまいました。そうです、彼に妻を寝取られたんです。
彼が18歳、妻が34歳の時でしたね。立ち直るのにずいぶん時間がかかったのを記憶しています。」
「どこへ行ったのか見当もつかないのですか。」
「思いつく所はすべて当たりました。妻の実家にも探してもらいましたが見つかりませんでした。」
「先日その大谷史郎が何者かに殺害されました。一人住まいで同居の女性は居なかった様ですよ。」
「恩を仇で返すような奴です。行く先々で人の恨みをかっていたのでしょう。その後妻はどうなったんでしょうね。
何処でどうしているのか少し心配ですが今となっては現れて欲しくは無いですね。
妻と彼が失踪して3年後離婚が認められ今の妻と再婚したわけです。
子宝にも恵まれ幸せに暮らしているので今更波風を立てて欲しくは無いですよ。」
「それはそうと彼の姉さんという女が現れなかったですか。」
「ええ、会ってはいませんが半年ほど前に電話で問い合わせがありました。同じことを説明しましたよ。」
ABC印刷を辞めて長野の本屋に現れるまでの4年間の行動は不明だが同棲していた人妻に食わせて貰っていたのだろう。


多摩川はデスクで出張報告書を作成していた。今回の出張では分かった事も多くて長い報告書になってしまった。
最後に(大谷の不明の4年間よりも姉だと名乗る女の存在の方が事件に関係している可能性が高い)という所見で締めた。
戸籍上、大谷史郎に姉はいない。


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