ぶ-6
この時期になるとかなりの人数が内定をもらっていて
後は、さらにチャレンジする人たちが残っているぐらいか。
飲み会は知った顔が沢山いて
私を含めみんな無事に内定が取れたようで良かった。
「松井」
ビールジョッキを持って私の隣に移動してきた上杉君は
「今日来るなら、言ってくれればいいのに」
と、私のジョッキとカチンと合わせた。
「俺の言ったこと少しは考えてくれた?」
優しい顔で笑うけど
愛しい顔ではなかった。
「ごめん・・・」
「うん。だと思った」
「白木と付き合って、幸せ?」
この前と同じ質問をされて答えに詰まる。
もう、あの茶番劇は終わったの。
はっきりとそう言えばいいのに。
人に言ってしまうと、本当に白木との事が終わってしまいそうで言えなかった。
「幸せに決まってんだろ」
その声とともに、後ろから私の肩にジャケットが飛んできた―――