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俺は他人棒
【熟女/人妻 官能小説】

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真壁宏美(41)-2

「あの、失礼ですけど……真壁宏美さんじゃないですか?」
 急に声をかけられ、びっくりするのも無理はない。眼を丸くして振り向く彼女の顔は、紛れもなくあのCMで見た美貌だった。
 あいにくノースリーブではなく、地味なTシャツ姿であったが、柔らかそうな二の腕が眩しい。
「そうですけど……」
 突然、名前を呼ばれた彼女は、訝しげに俺を眺め回した。
「すみません、別に怪しいもんじゃないんてす」
 俺はポーチを漁って、こういうときのための名刺を宏美に手渡した。
「お役立ちネタ配信・早耳JP専属ライター」と肩書がつけられているが、何も専属だなんて威張るほど御大層なものじゃない。

 俺の高校同級に、ネットニュース会社を立ち上げたがいる。武藤というそのダチから頼まれて、俺はちょいちょい記事を書いているのだ。
 いわば、小遣い稼ぎの副業である。
 当初は硬派な社会的話題を提供すると意気込んで作られたサイトだったが、結局ページビューが稼げるのは下世話なネタ。割り切って今じゃ芸能人のスキャンダルだとか巷の売れ筋商品徹底比較といった、キャッチーで無内容なニュースを垂れ流している。それが案外人気で、広告収入も馬鹿にならないというのだ。
 俺は人妻喰いの体験を活かし、エロ系の記事に貢献していた。ダチ付き合いのおかげて、人気度やら閲覧数に関わらず一本一万のギャラ。困ったときなど雑文をちょちょいと書いて現金収入になるから、全く有り難い片手間仕事だ。
 念のため武藤には、
「会社の名前が入った名刺、ナンパに使わせて貰ってもいい?」
 と断りを入れたのだが、奴はニヤリとして、
「そんなの誰でもやってるから、いちいち律儀に言わなくていいよ」
 寛大なお墨付きをくれた。
「記事の役にも立つから、お互い悪いことなしだよ。お前が書いた『保険勧誘の奥様と契約せずに寝る方法』は有料配信だけど相当人気あったからな。かかった経費も回して貰って構わんぜ」
 などと太っ腹な武藤なのである。
 話が逸れたが、名刺という代物はあたかも社会的地位があるかのような錯覚をもたらしてくれる便利な小道具だ。無腰で挑むより、ナンパの成功率(性交率なんちゃって)はいくらか上がるのだ。


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