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June bride
【純愛 恋愛小説】

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第7章 June bride-7

パパはゆっくりと目を開けて、未来の私…、つまり今の私を想像して本当に見つめているかのような表情を浮かべた。

「本当に綺麗になったね。おめでとう、みーちゃん。」
何て穏やかな声なんだろう。とても末期癌に侵されているとは思えないような温かい表情に私の胸はパパとネモフィラの丘に行った時と同じような気持ちになった。

パパはそう言うと、じっと私を見つめていた。その瞳からは、今から口にするのは予め考えていた台詞を読むのではないと言う事が伝わって来た。お別れの言葉を聞く事も、最期を看取る事も出来なかった私にとって、これからパパが口にする言葉が長い間抱いていたパパへの想いに応えてくれるものである事が分かる。私はそんなパパの目をじっと見つめる。

「みーちゃん、パパはみーちゃんに嘘をついてたんだ。もう分かってると思うけど、ゴメンね?パパはあの時、海外出張にも仕事にも行っていなかったんだ。ずっと病院に行ってた。海外出張から帰って来たと言った時から入院して治療を続ければ、んー、そうだなぁ…。みーちゃんが180回ぐらい夜寝て朝起きるぐらいは生きられると言われたんだ。治療を止めれば30回と言われてた…。少しでも長く生きるか、それとも残された時間を大好きな家族と過ごすか悩んだ。でもパパはママやみーちゃんと出来るだけたくさんの想い出を作る事を選んだんだ。みーちゃんはたくさんワガママ言ってたよね?でももっともっとワガママ言われたいって思った。パパはみーちゃんの為だったら何でもするよ?それぐらい愛してるんだよと言うのを分かって欲しくて。パパはみーちゃんのワガママ、大好きなんだよ。出来ればずっとずっとワガママを聞いてあげたい、そう思ってるんだ。

今、みーちゃんは学校に行って一生懸命勉強して、友達と楽しく遊んでる頃かな。未来に向かって少しずつ前に進んでるみーちゃんの邪魔だけはしたくなかったんだ。だからパパは病気の事を内緒にしてた。それだけは分かって欲しいな…グスン。」


パパは目に涙を浮かべていた。そしてママが鼻を啜る音も聞こえる。2人がこの動画をどんな気持ちで撮影していたかを思うと胸が締め付けられてしまう。


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