たらし込み-3
(3)
外へ出て、すぐに義伯父に寄り添い、腕を組んだ。
「いい気持ちになった……」
「奈緒ちゃん……」
義伯父の声は震えていただろうか。……
駅前からぶらぶらとあてもなく歩く。
「いい気持ち……」
「飲みすぎたんじゃない?」
「義伯父さんとだから飲んじゃった。楽しいんだもん」
「嬉しいな……」
あてもなく、歩いてはいなかった。私は早めに来て怪しげな地域を確認していた。
(ラブホ……)
ぶらついているように見せながら、そこに向かっていた。さすがに少しどきどきしていた。
「ちょっと、休みたい……」
もたれかかりながら、わずかに腕を引いた。ホテルの入り口である。あたしは俯いたまま酔ったように足元を不安定に見せて、さらに義伯父の体を押すように傾いた。
義伯父は何も言わなかった。意を決したのか、あたしを引っ張ってホテルに入って行った。
部屋に入ってしばらく、あたしはベッドに腰かけて俯いていた。
「気分悪い?」
義伯父は冷蔵庫から水を持ってきてあたしの顔を覗き込んだ。
水を一口飲んで、私はにっこり笑ってみせた。
「大丈夫です。元気です」
そして義伯父の手に自分の手を重ねた。
「いやあ、参ったな。……こんなところに来ちゃって……ご両親が知ったらどうなるか……」
「言いません。絶対言わない」
「ほんと?ほんとだね?」
「はい。……あたしが来たかったんだもん……」
「奈緒ちゃん……」
義伯父はあたしに抱きついてきてベッドに押し倒した。
「あ、待って、乱暴はいや」
「わかってる、乱暴しない、奈緒ちゃん」
私の胸に義伯父の顔が押し付けられ、
「ああ、奈緒ちゃん、好きだ、好きだ」
シャツの上から乳房を揉まれた。
「大人になった、大人になった」
シャツとブラがあるとはいえ、
(感じちゃう……)
シャツの下から手が入ってきて脱がされそうになった。
「待って、待って」
義伯父の手を止めて、
「今日は、まだ決心がつかないの」
「いいよ、わかった。オッパイだけ、オッパイだけいいだろう?」
「……うん……」
私はシャツをめくりあげ、ブラのホックを外した。義伯父が大きな息を吐いた。
「きれいだ……」
乳房を包む手が震えているように感じた。
「う……」
乳首が吸われた。やさしく……。じわっと秘部が濡れてきた。
熱い息が胸に感じる。左右の乳首が交互に舐められ、その間、義伯父の手は私の尻や腰、太ももを撫でまわしてくる。ジーパンの上からでもけっこう感じるものだと知った。
「奈緒ちゃん、援助するよ。僕が援助する。変な先生なんか断らなくちゃだめだ」
「断る、断ります」
乳首は感じて、私は陶酔しかかってしまっていた。
実をいうと、30万円という口からでまかせのお金がすんなり義伯父から得られるとは思っていなかった。それ以上にまだもらえる。……30万あれば十分だ。しかし、欲が出た。
(もっと引き出してやろう……)
熱い唇が腹に移った時、私は起き上がった。
「なんか、やっぱり酔ったみたい」
義伯父は我に返ったように私を見つめてベッドに正座した。
「そろそろ、帰ったほうがいいかな」
息が乱れている。
「今日は、帰ろうかな……」
「うん、そうしよう」
ホテルを出て、私はまた義伯父の腕を取った。
(好きよ……)
その言葉を暗に伝えたのだ。
「お金、振り込もうか?」
あたしは義伯父の肩に頬を摺り寄せた。
「また、会って……。その時に……」
そして、おそらく義伯父が最も心配していることを解消することにした。
「今日のこと……これからのこと……2人だけの秘密……そうでしょ?」
「うん……そうしてくれる?」
「もちろん……好きな義伯父さんだもん……」
義伯父の横顔は微妙な表情に歪んで見えた。
思いがけない収穫にあたしは有頂天になった。20万あったらと目算していたのに、30万。さらにまだ手に入る。義伯父の様子をみればあたしにめろめろである。
(これは使える)
そう思った。
計画では、甘えて、匂わせて、多めのお小遣いをせしめる魂胆だった。だが、
(額がちがう)
来週の土曜日。
「都合はどう?」
義伯父のすがるような眼差しに、私はすぐに返事をせず、
「何とかする」
ほっとした義伯父の崩れた笑いに笑顔を返した。
「今日の店にしようか」
「はい……」
組んでいた腕を解いたのは駅前の灯りが強くなった辺りだった。
土曜日は伸介と会う約束をしていた。でも、今はお金が目の前にある。それを優先する流れになっていた。