アンジェラ-7
「ただの普通の女っていうことよ」
「なーんだ、そうか」
「何だと思ったの?」
「ひょっとしてレスビアンなのかと思った」
「貴方と何度もセックスしたでしょ」
「そう言えばそうだった」
「抜けてるのね」
「そんな日本語も知ってるのか」
「知ってるわよ」
携帯電話を手に入れてアンジェラはとても嬉しそうだった。
「有り難う。食事を奢るわ」
「いいよ。僕が奢る」
「どうして?」
「僕は美人には奢らせない主義なんだ」
「それじゃブスには奢らせるの?」
「ブスとは一緒に食事しない主義なんだ」
「いけないわね。女をそんな風に顔で差別してはいけないわ」
「何を言うか、美人の癖に」
「美人はそういうこと言ってはいけないの?」
「そうさ。美人がそんなこと言うとブスの女は余計傷つく」
「そうかしら」
「そう。それにしてもアンジェラは美人だよなあ。コロンビア人ってみんな美人なのか?」
「馬鹿。みんな美人だったりみんなブスだったりする国はひとつも無いのよ」
「そうだな。言われて見ればそうなんだけど、他にコロンビア人を知らないからブスのコロンビア人を想像出来ないんだ」
「そうか。そうかも知れないわね」
「何しろ外人で言葉を交わしたことあるのアンジェラだけだから」
「中国人や韓国人は?」
「役所の窓口にいればそういうのは大勢来るんだけど、僕は窓口じゃないから」
「純粋培養の日本人なんだね」
「うん。それなのに日本人とやったのが3回で、コロンビア人とやったのが6回なんだ」
「セックスのこと?」
「そう」
「今まで3回しかやったこと無かったの?」
「うん」
「その年になるまで何していたの?」
「まあ、オナニーしてた」
「馬鹿ね。そうじゃなくて女の友達も無しに過ごしていたのかって聞いてるの」
「だから3回はやった」
「3回やっただけで別れたの?」
「うん」
「どれくらい付き合っていたの?」
「1年くらい」
「1年付き合って3回しかしなかったの?」
「うん」
「どうして?」
「どうしてって別に深い訳は無いなあ」
「恋人同士なら会う度にセックスするでしょ?」
「まあ会えば裸になって抱き合うことはするんだけど」
「それで何で3回なの」
「おっぱい吸ってる内に時間が無くなっちゃうんだな」
「呆れた。それは実に深い訳があるってことじゃない」
「そうかなあ。そんなのが深い訳になるのかな」
「そうよ。貴方精神科に行って治療して貰った方がいいわ」
「どうして?」
「どうしてって異常だと思わないの?」
「何が?」
「何がって、セックスよりもおっぱい吸いたいなんて異常だよ」
「そうかなあ」
「そうよ、絶対異常だわ」
「でもそれは相手に恵まれなかっただけだと思うよ」
「どういうこと?」
「アンジェラだと背が高いしおっぱいが大きいからセックスしたままおっぱいが吸えるだろ? でも前に付き合ってた女の子は小さかったからセックスするとおっぱいに口が届かなくなっちゃうんだ」
「それが異常だって言うのよ」
「でもアンジェラが相手なら別に異常じゃ無いだろ? ちゃんとセックスだってするんだから」