アンジェラ-13
「お金は持ってるんでしょ?」
「今?」
「今じゃなくて」
「ああ。服を買うくらいの金はあるけど、服に金かける趣味は無いから」
「駄目ねえ。そんなこと言ってるから持てないのよ。セックスが下手でその上洒落っ気が無いと来ては持てる訳が無い」
「セックスならお陰様で達人になった」
「何が達人よ」
「まあ、後で食事しながらゆっくり話してやるけども、この間は女をヒイヒイ言わせて来た」
「それは楽しみね。ゆっくり聞かせて貰うわ」
「今日は焼き肉を奢ろうか」
「いいわねえ、大好き」
「好きなだけ食べていいよ。そのデカイ体だから相当食うだろうな」
「どうしたの? パチンコで儲けたとか?」
「いや、アンジェラにちょっとお礼がしたくてね」
「何のお礼?」
「だからお陰様で女をヒイヒイ言わせることが出来るようになったから」
「ああ、それね」
「うん。やっぱり自信がついたよ。別にチンポなんか入れてないのにもう大変な騒ぎようだったんだ」
「へえー」
「君のクラブに行ってM女を指名したんだ。それで椅子の上に足を拡げて縛ってやった」
「それで?」
「バイブ使って責めたらあっという間に行っちゃった」
「どうして?」
「何が?」
「だからどうして行ったって分かるの?」
「だって大声出して体だって縛ってなければ椅子から転げ落ちるくらい激しく悶えていたんだよ」
「なるほど」
「あっけないもんだなって思ったよ」
「あそこは舐めたの?」
「いや、初めは舐めるつもりだったんだけど、見たら色が黒いんだよ。僕は前の彼女とアンジェラのしか見たこと無いんだけど、2人ともピンク色だろ?」
「前の彼女なんか私知らないよ」
「ああ、そうだな。ピンク色なんだよ。いや、ピンク色だったんだ。それでアンジェラのもピンク色だろ?」
「ええ、私のは綺麗なピンク色よ」
「だけどそのM女は黒いんだよ。あんな所でよっぽど変なことされてるのかな? それで黒くなっちゃうのかな?」
「そうね。洗濯バサミで挟まれたりするからね」
「そんな酷いことする奴がいるのか」
「だってSMクラブだもの」
「あ、なるほど。Sってそんなことするもんなのか」
「それで黒いから舐めなかったの?」
「うん。何だか気持ち悪くてね。それでバイブで責めたんだよ」
「貴方の舌は鍛えてあるから私みたいなデカイ女でもギョヘーなんて言って失神しちゃうんだって?」
「え?」
「今度来たらギョヘーって言って失神したフリしてやらなきゃいけないから大変だわ。でもそれをやると満足して直ぐやめるから楽なお客だけどね、って言ってたわよ」
「え?」
「バイブなんて長くやられるとあそこが痺れてきて痒くてどうしようも無いから直ぐ行ったフリするんだけど、普通の客はしつこくて行ったフリしてもなかなかやめないから参るのよ。そんな時はおしっこしてやるの、そうすると大体誰でも『おっ、失禁しやがった』なんて喜んじゃってね、それで満足してやめるのよ。だけどあのお客は直ぐやめたから楽で良かった、って」
「君、あの女の子と話したの?」
「したわよ」
「あいつがそんなこと言ってたの?」
「他に誰がそんなこと言うの?」
「畜生。行ったフリしてたんだって?」
「この次はギョヘーって言って失神してくれるわよ。フリだけど」
「畜生、馬鹿にしやがって」
「まあ、そう興奮しないで食べなさい」
「畜生、興奮するよ」
「おかしかったけど悔しかったわ」
「え?」
「もう興奮しないでいいから、食べなさい。沢山食べて太らないとセックスも上手くならないよ」
「畜生、あいつそんなこと言ってたのかあ」
「腹の皮がよじれるほどおかしいって言うけど、本当にそういう感じだったよ。でもその一方で私悔しくて悔しくて泣けてきそうだったよ」