新たなる犯罪-8
「2人はビッツコイン、やってる？」
若菜が2人に聞いた。マギーも華英も首を横に振った。
「じゃあどんなものかは知ってる？」
マギーは自信なさげに答える。
「株みたいなもんで、儲けられるって言うか…。でも株よりも専門知識がなくても出来て、少額からも始められるって聞いたような…」
自分でも幼稚な答えをしたなと恥ずかしくなる。しかしそれを馬鹿にする様子はなかった。
「簡単に言えばそう。500円ぐらいから購入出来る。株が大金を得る事を目的とする人が多いとするならビッツコインはお小遣い稼ぎと考える人が多いし、だから今や多くのOLの人らが何気にやってるのよ。500円で買ったビッツコインが1万円になったら嬉しいよね？そんな手軽なお小遣い稼ぎが出来るからウケてるのよね。株に比べてリスクが少ないから。でもビッツコインで株並みに大金を手にしている人も多くいる。1億のビッツコイン資産を持つ人を億り人なんて呼んで讃えてるけど、今まではビッツコインの市場価値が右肩上がりだったからたくさんの億り人を生み出して来たの。でもそこで大きな問題が出る。例えば1億儲けたから5000万を円に変えて高級車を買ったとする。大金を手にする訳だから車だけでは済まない。でも1000万残しておけばまたすぐ増やせると思い4000万換金して贅沢な生活をする。でも状況が変わりビッツコインの価値が下がり1000万あった価値が100万になってしまったとすると、どうゆー事になると思う？」
「…悲しくなる…？」
「…」
さすがに若菜も呆れて溜息をつく。
「いーい、仮想通貨として持ってるうちはいい。でもお金に変えた瞬間から確実に税金がかかるのよ。この話の場合、9000万をお金に変えた訳だからだいたい55%の税金がかかる。すると4950万の税金を払わなくてはいけない。でも9000万は使ってしまい、1000万が増えると目論んでたビッツコインは価値が下がり100万になってしまった。税金払えないわよねぇ？4850万の税金をどうやって払うのって話で、もうどうしようもなくなって家や土地まで売らなきゃならない状況になるのよ。そんな人が今急増してるのよ。株に詳しい人らならそんな事も頭に入れて投資をし、うまくお金を使う。でもそこらの普通の人らが何の知識も持たずに大金を手にすると危険なのよ。そういう事になる。今そんな人らをいかにして出さないか各方面で問題になってるのよ。ただ警察では止められないのよ、危険なビッツコインの買い方をする人は。それ自体違法ではないし、注意喚起することしか出来ない。ただ税金を払えなければ逮捕するしかない。彼らは意識的に脱税してる訳じゃないし、ホント可哀想に思う。だからそんな人らを出さないにはどうしたらいいのか、警察を始め国会でも議論されてるし、何か対策を打たなくてはならないの。アメリカでは日本よりも早くビッツコインが根付いているから、どうビッツコインと付き合ってるのかの情報を得る為にわざわざアメリカまで出張したって訳。」
「そうだったんですか…」
マギーはイマイチ話についていけなかった。華英に関してはもはや意味が分からず、聞いているだけで眠くなってしまった。