新たなる犯罪-9
「それにビッツコイン絡みで薬物問題や性犯罪も急増してますしね。」
中島が若菜の思っている事を見透かすかのような笑みを浮かべて言った。若菜はそっと頷いた。見透かされている事を読んでいた様子だ。
「どうしてビッツコインが薬物や仙台レディース犯罪と関係してるんですか？」
マギーが聞く。
「最近ビッツコインで薬物を売買するケースが増えてるのよ。仮想通貨を使っての売買なんだけど、大量に麻薬などが取引される前後に市場価値が大幅に動くのよ。誰がが麻薬を売る時に人為的に価値を下げ購入し、購入したものを売る時に価値を上げ利益を得るといった疑いが持たれてるの。いわゆるインサイダー取引よね。今そうしてガンガン利益を上げている人らがいる。そして性犯罪は、さっきの税金が払えなくなる話で、わざとビッツコインで儲けさせ、贅沢な生活をさせ、税金を払えなくなった女性を風俗店に斡旋したり売春させたりAVに出させたりし、そこで稼いだお金の一部を取る、みたいな。これは最近被害女性からの相談を受ける事が増えてるの。その対策が後手後手になってる状況を打開すべくビッツコイン先進国のアメリカへ行って色々聞いてきたって訳なのよね？」
「そうなんですか…。」
それと今回自分が当たっている事件に関連性が感じられず微妙な答えをする。そんなマギーを見てフッと笑った後、中島がマギーに言った。
「わざわざ上原さんがお疲れだって言うのにここに来たのは、菜月さんらが当たってる事件と関係あるからですよ？」
「え…？」
まさか中島に心を読まれているのではないかと思ったマギー。驚いた表情を浮かべた。
「REVOLUTOR…」
「え…？」
若菜の口から出てきた言葉にハッとして若菜を見つめるマギー。
「ビッツコインを使い薬物売買で利益を得ている疑いが持たれる人らの中にも、性犯罪に関わっているであろうと疑いが持たれている人らの中にもREVOLUTORと言う言葉が出てくるの。」
「私達が追っているREVOLUTORと同じですか…？」
「それはまだ分からない。メアドのドメインであったり、ハンネにしたり、そのREVOLUTORって名前が出てくるのよね。まだそのREVOLUTORって言う正体が分からないから何とも言えないけど、でもREVOLUTORってそうは世の中に溢れている言葉じゃないし、私は全てに関係があると考えてるの。だから何が何でも2人が来るこの時間に来たかったのよね。」
「そ、そうだったんですか…。」
さっきからそうだったんですか、としか言えない自分が情けなくなる。同時に常に先を行く若菜はやはり大きな存在だと改めて痛感させられたのであった。