序章-2
お弁当を食べ終え、デザートのフルーツを口にしながら二人は下山の準備を始めた。もうじき初夏という爽やかな風が吹く中、二人とも長袖のシャツを脱ぎ、いつの間にかTシャツ1枚になっていた。ちひろは八分丈のロングパンツを履いていた。色はベージュだ。脱いだブルーのチェックのシャツは腰に巻いていた。清楚なOLらしく地味ないでたちだが、首にはブルーのスカーフを巻き、セミロングの髪はヘアーゴムでポニーテール風に束ね、その頭にはシンプルなブラックのキャスケットを被っていた。
一方の亜紀は白いハーフパンツに黒のスパッツ。ちひろと同じく落ち着いた雰囲気だが、トレッキングシューズはオレンジ、それに合わせた麦わら素材のつば広ハットもオレンジ系だ。ミディアムカットのボブヘアなので、ちひろのように束ねる必要もない。
しばらく下ると、後ろから小走りで駆け下りてくる二十代らしい二人組の男がいた。追い抜きざま
「こんにちは」
と挨拶をかわした。それが山でのマナーだ。
「どこからきたんですか?」
男の一人が聞いた。
「東京からです」
ちひろが答えた。
「今日はもう東京に帰るんですか?」
もう一人の男が聞いた。
「いいえ。麓の○○旅館に泊まる予定です。」
「いいですね。今頃は山菜がおいしいですよ」
「わぁ楽しみ」
亜紀が歓声をあげてほほ笑んだ。
「あっそうそう。ぼくたち地元の観光協会のボランティアで登山道の整備をしてるんですよ。先月の豪雨でこの先の道が寸断されましてね。う回路がありますからそちらを使って下さい。道標も完備されていますから迷う事もありませんよ」
「有難うございます」
女二人は同時に頭を下げた。
「じゃあお先に。気を付けて」
「いい女だなぁ」
「ああ、ベージュのズボンの女、いいオッパイしてるぜ」
「裸にひんむいてわしづかみしてやろうぜ」
「タイツの女はいいケツしてたな」
「健康そうな太めの足もいいぜ」
「あのケツ思い切り蹴り上げてやるか」
「ムチで馬車馬のように追い立ててやろうぜ」
二人の男はこれから始まろうする凌辱劇に、下半身を煮えたぎらせていた。