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危険な自慰
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イグナイテッド-2

 私は画面から視線を落とし、呟いた。
 「…ずっと、見てたんだね、私を。」
 「そうよ。もちろん、合コンで出会ってからのあなたの行為もね。」
 ミラはうーん!っと伸びをした。
 「ね、屋上に上がらない?風が気持ちいいわよ。」
 「は?」
 「体、火照ってるんじゃないの?」
 言われてみれば。さっきから妙に体が熱いような気がする。
 「…いいけど。」
 「ついてきて。あ、まだ脱がないでよ、まだ。」
 「脱ぐわけないでしょ。見られてるのが分かってるのに。」
 エレベーターで最上階に上がり、そこからは階段で屋上に出た。彼女の言う通り、秋の風が爽やかだ。
 周囲にはこのマンションを取り囲むようにいくつものビルが建っている。そのうちの多くはここよりも高層だ。窓から見下ろせば、私たちのことがよく見えるだろう。
 何か目立つことをすれば確実に見られる状況だ。
 前を歩いていたミラが振り返り、私に何かを投げてよこした。
 「それ、なんだか分かる?」
 「何、って…。」
 それはどこにでもありそうな、グレーのショルダーポーチだ。
 「始まったのよ、そこから。」
 「…まさか!?」
 「そう、それ。」
 満員の通勤電車の中で私の下腹部の敏感な部分に激しく擦り付けられ、私の中に眠っていた忌まわしき欲情を目覚めさせてしまったポーチ。
 「既に始まっていたのね、あの時から。」


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