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危険な自慰
【その他 官能小説】

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イグナイテッド-1

 「そんな…。」
 「バレてない、見られてないと思ってたでしょ。そして私には合コンで初めて会った、と。」
 「何を、何を言っているの…。」
 「ヒントをあげたんだけどな、美術館で。何回もあなたに見られた気がする、って。見てたのよ、何回も私を。」
 「そんな記憶は…。」
 バサっ。
 「え?」
 ルリカちゃん、いえ、ミラは自分の髪を掴んで投げ捨てた。ベリーショートの頭が現れた。
 「そ、それ、ウィッグ…。」
 彼女は私のリアクションを無視して話し始めた。
 「人物を識別する時、最初にどうする?」
 「どう、って…。顔を見る?」
 「違うわ。印象の分類から始めるの。」
 「印象の分類…。」
 「まずは服装。視界に入る面積が一番大きいでしょ?人体の中で。」
 言われてみれば。
 「スーツ、ワンピース、制服、などのおおまかなタイプ分け。すると、その情報を元に相手がどういう属性なのかを無意識に分類してしまう。それが第一段階の分類。」
 「…スーツだとビジネスマン、ワンピースだとお嬢さん、制服だと高校生、みたいな?」
 「そう。で、第二段階が髪。黒ショート、黒ロング、茶髪ショート。なんとなく性格をイメージする。」
 「まじめそう、おとなしそう、やんちゃそう…。」
 「分かってきたわね。第三段階、声。こういう人はこういう声を出すだろう、っていうの、あるでしょ?」
 「声優さんがキャラに応じて声を使い分けるように?」
 「ええ。でもそれを逆手に取れば、声で人物の印象を付けられる。」
 「属性分け、性格分け、そしてそれらの印象を補足する声のキャラクター。…意図すれば別人になれる、と言いたいの?演劇みたいに。」
 「その通り。」
 「そうかもしれない。けど、人物を見分ける決定的な要素はやっぱり顔なんじゃないの?どんなに演じても、顔は変わらない。」
 ふ、と唇の端に笑いを浮かべてからミラは私の疑問に答えた。
 「気付かなかったじゃない、あなた。ぜんぶ同じ顔なのに。」
 「誰が?」
 「まったく…。」
 ミラはスマホを操作した。さっきとは別の動画が始まった。
 立ち上がってにこやかに挨拶する受付嬢。後ろの棚にカタログを取りに行った彼女の足首にはパンティが絡みついている。
 私の頬がひきつった。
 「目線の高さではギリギリ見えなかった。でも、頭の高さからだとご覧の通り。髪に仕掛けてあったの、小型カメラが。」
 『こちら側からは普通は見えないところを見ちゃいましたね。』
 「私、教えてあげたのに。見えたよ、って。」
 「あなただった、ってこと?あのスカートスーツの女性が。」
 ミラは黙って頷いた。
 別の動画が始まった。
 温泉の中。洗い場に座っている女の後姿が映っている。
 鏡の中の女は自分の中に指を突っ込んで掻き回し、同時に敏感な蕾をつねっている。
 『すみません、見ちゃいました。』
 「この時も教えてあげた。ちなみに、髪に隠した防水カメラの映像。ついでに見せてあげるわ。こんなのも撮れちゃったの。」
 水中で黒い影がユラユラ揺れている。近づいて来た。茂みの中の貝のようなものが、誘うようにパックリと口を開いている。水中から私のここを撮影できたのは一人しかいない。温泉で出会ったルリカちゃんもミラだったんだ。
 「…見られてたんだ、何もかも。」
 見られていないと思っていた行為の全てを。
 …あれ?私、なんだかヘンな感じがする。見られてしまっていたのに、なんというか…。
 「次。」
 見覚えのあるスカンツを穿いた女を膝元から見上げた映像。
 「ロードスターのハンドルの下のカメラから。」
 『あ、一つご注意が。大変車高が低く、屋根もありませんので、周囲から丸見えです。』
 『ですね、見られて困ることはしないようにしますよ。』
 しばらく走ったところでドライヴィング・シューズ以外を全て脱ぎ、全裸をオープンにして再び走り始めた。胸がGと風で揉みくちゃになっている。陰毛もワサワサしている。
 「よく言うわね、恥ずかしげもなく。」
 画面が切り替わった。ドライブレコーダー?前を行く緑のロードスターを捉えている。あっという間に撃墜。降参したロードスターの横を通り過ぎる時、サイドから見下ろすカメラに切り替わり、ドライバーの女が全裸なのがバッチリ捉えられている。
 「丸目のSTI…。」
 「で、美術館。」
 柔らかな電球色の広い空間。微かな人の気配以外は静寂が流れている。
 横へ横へと移動していく人々の列の後ろに立ち、自分のスカンツを掴んでグチャグチャに股間に喰い込ませている女が映っている。
 彼女はこっちを振り向き、しばし見つめていたが、ファスナーを下ろしてスカンツの中に手を滑り込ませた。
 「どの絵の前で立ち止まるか予想したの。そして、この時の私の姿に反応することも分かってた。好きだものね、あの絵。」
 「あなたの手の中で転がされていたというわけね。」
 「その通り。あ、入り口のダッサダサのバイトの子も私ね。」
 「…何がしたいのよ。」
 「まあまあ、まだ続きがあるから。」
 大きな湖の公園のベンチだ。
 水面ギリギリの高さから見上げた映像。ベンチに座った女が下半身丸出しで自分を痛めつけている。
 「二羽の水鳥をカモフラージュに使った潜水ドローンカメラ。見つかりそうになったから、一回沈んだけどね。チャポン、て音、気付いた?」
 『うぅ、うあぁあはぁ…はぅっうああぁ!』
 湖畔のベンチで悦楽に狂う私が映っている。
 「女子高生登場。」
 『私もそっちでご一緒してもいいですか?』
 『もちろん、いいですよ。』
 「何をご一緒すると思ったの?」
 『脱いじゃったんですね。』
 『そうなの、すごく…気持ちいいんですよ、脱いじゃうのって。』


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